卵はお弁当の定番でもあるたまご焼きや目玉焼きをはじめとする卵料理だけでなく、おかずやお菓子作りなどにも幅広い使い道があるので食卓には欠かせない食材。完全栄養食とも言われるほど栄養価が高く、元気の源になるので、風邪を引いたときにおかゆやうどんに入れたりもしますよね。「卵さえ食べておけば大丈夫!」という“卵最強説”もありますが、本当なのでしょうか?今回はたまごの豆知識や効果的な食べ方をご紹介します!
1.栄養と効能
栄養
・カルシウム
・カリウム
・鉄
・ビタミンA
・ビタミンB1、B2、B6
・ビタミンD
・グルタミン
・シスチン
・メチオニン
・オレイン酸
・ナトリウム
・コリン
・マグネシウム
・レシチン
・亜鉛
・ビオチン
・葉酸
・カロチノイド
・リン
・リノール酸 など
効能
・脳を活性化する
・骨粗鬆症の予防
・代謝を促進して痩せやすい身体を作る
・育毛を促し、薄毛を予防する
・悪玉コレステロール値を下げる
・老人性痴呆症や認知症の予防
・記憶力や学習能力の向上
・狭心症の予防
・脳卒中の予防
・老化予防
・弱った肝臓の回復を助ける
・自律神経の活性化
・抗酸化作用
・疲労回復効果
・細胞膜の働きを助ける
・美肌効果
・髪や頭皮を健康に保つ
・免疫力の向上
・むくみ防止
・視力の維持
・貧血の予防
・歯や骨を強くする など
2.卵が完全栄養食品と言われる理由
「完全栄養食品」とは、厚生労働省が策定した日本人の食事摂取基準で定められている栄養素をバランス良く摂取できるもののことです。卵には、本来ひよこになるための栄養素がたっぷり詰まっており、人間が生きていくために必要不可欠とされる必須アミノ酸や、体内に吸収されやすい良質なたんぱく質などの栄養もバランス良く含み、大豆や牛乳と並んでたんぱく質の優良性を示すアミノ酸スコアが100の優れた食品であることなどから完全栄養食品と言われるようになりました。卵のタンパク質は肉類や牛乳などと比べると身体に負担をかけずに吸収されやすいことも知られており、古くから滋養強壮や重要なタンパク源として重宝されています。また、低糖質で高タンパクなので血糖値が上がりにくく、消化に時間がかかるので腹持ちが良いため、ダイエット中の方にも最適の食品です。
食べるだけじゃない!卵のすごさ
卵を割ったら、当たり前のように捨ててしまう薄皮と殻。実は普段捨ててしまっている部分にもたくさんの栄養素が詰まっているのをご存知でしょうか?ゆで卵の殻を剥くときについている薄皮は「卵殻膜」と呼ばれるもので、殻に多少のヒビが入っても殻の役割をして卵の形を保ってくれています。この卵殻膜にはコラーゲンやヒアルロン酸、アミノ酸などの美容に効果的な成分が豊富に含まれており食べても効果的ですが、人間の皮膚とアミノ酸の構造がよく似ているのでスキンケアの原料や薄皮パック、サプリメントの原料などに加工されることもありますよ。また、卵の殻には1個あたり約2000mgのカルシウムがギュッと詰まっており、牛乳200mlに含まれているカルシウムの量の約9倍です。卵の殻には食中毒を引き起こすサルモネラ菌などの細菌が付着していることもあるため殻ごと食べることは控えるのが望ましいですが、適切な加工処理をした粉末状の食用カルシウムパウダーなら良質なカルシウムを摂り入れることができますよ♪
卵黄と卵白の栄養価の差
卵は卵黄と卵白に分けられますが、卵白はほとんどをたんぱく質が占めているのに対して、卵黄にはたんぱく質、脂質、ビタミン類、レシチンなどの栄養素が豊富に含まれています。栄養価が高い分カロリーも卵黄の方が高いのですが、卵の栄養は大部分が卵黄に詰まっていると言えるでしょう。
3.種類
見た目には違いが分かりづらい卵ですが、親鶏の品種や育て方、エサの原料などによってさまざまな種類があります。また、近年の健康ブームも相まって、一般的な卵と比較するとビタミンD、ビタミンE、EHP、DHA、ヨウ素、リノール酸などの特定の栄養成分を多く含んでいる「特殊卵」と呼ばれる種類など消費者の好みに合うような特殊な種類の卵が販売されるようになりました。
親鶏による種類
レグホーンの卵
もみじの卵
さくらの卵
ボリスブラウンの卵
会津地鶏の卵
アローカナの卵
岡崎おうはんの卵
烏骨鶏の卵
うずらの卵
エサによる品種
地養卵
さくらたまご
ハーブたまご
こだわり平飼いプレミアム
卵の殻や卵黄の色の違いについて
エサにとうもろこしやカボチャ、パプリカなどの色が濃い緑黄色野菜が混ざっている場合は色素の影響でオレンジ系の赤みを帯びた色になり、緑黄色野菜を食べていない場合は薄い黄色になるため、エサの影響で栄養価に多少の違いは出ます。緑黄色野菜の色素の元であるカロテンはさまざまな健康効果が期待できる成分のため、卵黄の色が濃い卵の方が栄養価が高いです。
また、直売所や農場などでスーパーではあまり見かけない有精卵が販売されていることあります。有精卵も赤玉と同様に栄養価が高いと思われがちですが、無精卵と比べても含まれている栄養価は変わりません。
卵の大きさの違いについて
4.食べ頃と見分け方
産みたての新鮮な卵の特徴
- 卵白が白く濁っている
- 卵黄の周りにある卵白に厚みがある
- 黄身にシワがなくハリがあるもの(爪楊枝を刺しても割れない)
※産みたてで鮮度の高い卵は、中にある炭酸ガスが圧をかけているので殻がピッタリとくっついてしまうため、ゆで卵を作るととても殻が剥きにくくなります。ゆで卵を作るなら、産卵後数日経過している卵を使うとツルッと気持ち良く剥けるのでおすすめですよ。
卵はパッケージに賞味期限が記載されています。賞味期限とは適切な状況で保存してあれば「この日まではそのままの状態でも美味しく食べることができる」と言われている期限で、卵の場合はパック詰めされてから約2週間ほどで設定されていることが一般的です。卵の賞味期限は実際の賞味期限よりも短めに設定されていることが多く、季節によって異なり夏は産卵後16日、冬や産卵後57日以内とされています。適切に保存していれば約3〜5週間ほどは美味しく食べられますよ。賞味期限を過ぎてしまってもいきなり食べられなくなるわけではないので、すぐに捨ててしまうのはもったいないかもしれませんね。とはいえ、賞味期限の過ぎたものは生で食べるのは避け、腐っていないか状態を確認してからしっかりと加熱調理してなるべく早めに食べるようにしてくださいね。腐っている卵は不快な匂いがするので要注意です!
また、購入してから持ち帰るまでに殻にヒビが入ってしまっていたり、割れてしまったという経験がある方も多いのではないでしょうか?卵は卵白に含まれているリゾチームという溶菌酵素の抗菌作用によって菌の繁殖を抑制していますが、ヒビや割れによって外気に触れると効果が期待出来なくなり、細菌が繁殖する恐れがあります。ヒビが入ってしまったり割れてしまった卵はなるべく加熱調理して、その日のうちかなるべく早く食べるようにしましょう。
5.保存方法
卵を保存するときは常温ではなく、10℃以下の冷蔵庫に入れましょう。温度の変動や衝撃が多いドアポケットは避けて、棚の方に入れるのがおすすめです。卵はパック詰めの際に殺菌処理されているため、できるだけ触らないようにすると菌の繁殖を防げるので長持ちすると言われています。購入時に入っていたパックのままで、卵の尖っている方を下にして保存しましょう。卵の丸くなっている方には呼吸するためにたくさんの小さな穴(気孔)があり、必要な酸素を取り入れて内部から発生した炭酸ガスを排出しているため、呼吸がしやすいように上にしておくと鮮度が保ちやすくなります。
丸くなっている方を下にしてしまうと卵黄と卵の中の空気が触れやすくなり、最近が繁殖する可能性が高くなってしまう点や、尖っている方が殻に強度があるので割れにくい点が、尖っている方を下にして保存する理由です。購入時のパックのままでOKなら冷蔵庫に付属している卵用のトレーにわざわざ移す手間も省けて一石二鳥ですね!また、卵は基本的に冷凍保存はできません。そのまま冷凍した場合、中身が膨張して割れてしまう可能性がありますし、割ってから冷凍するのも雑菌の混入の心配があります。デメリットばかりですので、冷凍での保存は避けましょう。
6.加熱時間
卵は生でも美味しく食べることができる食材ですが、賞味期限が過ぎているものは十分に加熱しましょう。75℃で1分以上、または65℃で5分以上が目安です。長時間加熱しすぎるとビタミンB群などの熱に弱い栄養素が消失してしまいますが、加熱することでより効果的に摂取できる「ビオチン」という栄養素もあります。生卵よりも半熟卵にした方が消化が良いため、身体に負担をかけずに栄養を吸収することができます。体調が芳しくないときや胃腸が弱っているときは半熟にするのがおすすめです。
半熟卵の加熱時間
固ゆで卵の加熱時間
温泉卵の加熱時間
- 方法①
65〜70度のお湯と卵をお鍋などに入れて、10〜15分ほど置くと卵黄と卵白どちらも半熟状態の温泉卵に。20〜25分ほど置くと卵黄は固まり、卵白は半熟の温泉卵になります。 - 方法②
水が500ml入る大きさの蓋付きのどんぶりに卵を入れてから熱湯を注ぎ、蓋をして15分ほど置くと、トロッとした温泉卵になります。
7.卵と一緒に摂りたい食材
ビタミンCや食物繊維を多く含んでいるもの
卵には大切な栄養素がバランス良く豊富に含まれていますが、主要栄養素の中ではビタミンCと食物繊維がありません。卵に不足しているビタミンCと食物繊維を多く含んでいる野菜や果物などの食材と一緒に摂ることで足りない栄養を補い、抜群の栄養バランスになりますよ♡
レバー、緑黄色野菜、きのこ類、ナッツ類、海藻類などの脂溶性ビタミンを多く含んでいるものと油
卵には脂質が多く含まれているため、ビタミンA・D・E・Kなどの脂溶性ビタミンを豊富に含んでいる食材と合わせると相乗効果でビタミンの吸収率が高まります。油を使って調理するとさらに効率アップ!生のままやゆで卵よりも消化が遅いので、腹持ちも良くなりますよ。
8.卵の性質
卵には「三大特性」と言われる性質があり、その性質を活かしてさまざまな料理や加工品が作られています。
①凝固性(ぎょうこせい)
卵に熱を加えると固まる性質。ゆで卵や卵焼きなどはこの性質を利用して作られます。
②起泡性(きほうせい)
卵白をしっかりと混ぜていくとたくさんの泡が発生し、クリーム状になる性質。生クリームやケーキなどのお菓子作りによく使われるメレンゲが作られます。
③乳化性(にゅうかせい)
水と油など、どれだけ混ぜても混ざり合わない2つの液体のどちらかを微粒化させて、混ざるように分散させる乳化の役割を担う性質。アイスクリームやマヨネーズ作りにこの性質が活用されています。
9.卵の豆知識
①卵に入っている白い筋のようなものの正体は?
②卵を割らずに鮮度を確かめられる裏技!
食塩水につける、または振ると音がする
光に照らす
表面を触るとザラザラしている
③スーパーなどでは卵が常温で置かれている理由
④卵は1日にどれくらい食べて良いの?
⑤卵の食中毒は何が原因?
サルモネラ菌に感染すると12〜48時間くらいの間に吐き気、下痢などの症状が出始め、だんだんと水っぽい下痢、嘔吐、発熱などが起こります。症状は1週間ほどで回復に向かいますが、体内にサルモネラ菌が残ることも。また、食材は加熱すると日持ちするものが多いですが、卵はその逆で加熱によって殺菌機能が働かなくなるため、火を通してからの方が傷みやすくなります。卵焼きや目玉焼きなどは作り置きせず、調理したものはなるべくその日のうちに食べましょう。お弁当に入れる場合はしっかりと加熱して、菌の繁殖する原因を作らないようにしてくださいね!
殺菌されていない卵の取り扱い方は?
また、殺菌加工されている卵でも表面の汚れが気になる場合は、水などで洗ってしまうと殻の表面を覆っている雑菌や微生物から卵を守っている「クチクラ層」と呼ばれる成分も一緒に流し落とされてしまったり、殻の表面に空いている穴(気孔)に雑菌を押し込んで侵入させてしまう可能性もあるため、鮮度を保つためにも汚れをサッと拭き取る程度するか食べる直前に洗うようにしましょう。
健康や美容に効果の高い卵。良質なたんぱく質を気軽に摂れてアレンジのバリエーションも豊富なので、いろいろな食べ方で楽しんでみてくださいね。
最終更新日 2024年11月11日
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