もぐもぐ上手に口を動かしたり、自分で食べようとしてみたり、赤ちゃんも食事への意欲が増していく離乳食後期。食べられる食材や量も増え、手づかみ食べのメニューも加わってくるので、それを踏まえた上での献立の決め方や栄養バランスのとり方も気になりますよね。今回は、離乳食後期(カミカミ期)の進め方を紹介します。この時期のママが感じがちな悩みや疑問点にも触れていきますので参考にして下さい。
目次
1.離乳食後期に移行する目安は?
中期で少し形のある食材に慣れてくると、少しずつ上手に歯茎を使ってもぐもぐと口を動かして食べられるようになってきます。赤ちゃんの舌が前後・上下に加えて左右にも動くようになり、左右の奥の歯茎で噛むことを覚えてくるのです。これが、離乳食後期に移行する時期の目安です。唇が左右に動いているか、リズミカルにもぐもぐしているか、赤ちゃんのお口の動きをチェックしてみてください。
また、離乳食に手を伸ばして「食べたい!」という意欲が見られるのも目安になります。手づかみ食べができるメニューを取り入れ始める時期でもあるので、食べることの楽しさを感じながら食事ができる環境を作っていきたいですね。
ただし、この時期に気を付けたいこともあります。それは固形の食事を無理に食べさせないことです。噛む力がついてくる時期とはいえ個人差がありますし、「離乳食後期に入ったから…」と無理をして続けると喉に詰まらせてしまったり誤嚥してしまったりする危険があるからです。赤ちゃんが口をしっかりもぐもぐ動かして噛んでいる様子が見られるかよく確認してくださいね。もしよく噛まずに飲み込んでしまっていたり逆に口から食べ物を出してしまったりする様子が見られたら、柔らかさや大きさを臨機応変に調節してください。
2.離乳食後期(9~11ヵ月ごろ)に食べられる食材やメニュー
1日に3回、大人と同じ回数の食事を取るようになる時期です。食べられる食材のバリエーションもまた増えるので、3回の食事の中で色々な食材を使っていきたいですね。
どんな食材が食べられる?
栄養の半分以上を離乳食から摂取するようになります。また、手づかみ食べやほんの少しの味付けにも挑戦できる時期です。そんな離乳食後期に食べられる食材の例を栄養素ごとに紹介しますね(後期の頃から取り入れることができる食材にアンダーラインを引いています)。
- 炭水化物・・・お米・食パン(耳以外の部分)・うどん・スパゲッティなど
- タンパク質・・・豆腐・鯛・ヒラメ・カレイ・しらす・きなこ・納豆・高野豆腐(もどさずにすりおろして使用)・卵黄・卵白(卵黄に慣れてきたら)・ささみ・ツナ・鮭(塩鮭ではなく生鮭)・かつお節・かつお・さば・えび・合いびき肉など
- ビタミン類・・・野菜(ほうれん草・小松菜・大根・人参・トマト・ブロッコリー・かぼちゃ・キャベツ・かぶ・じゃがいも・さつまいも・玉ねぎ・里いも・とうもろこし・オクラ・ごぼう・ニラ・など)、果物(りんご・みかん・バナナ・ぶどう・いちご・桃・すいか・キウイなど)・海藻類(のり・青のり・わかめなど)
さばなどのアレルギーの心配がある食材は極少量から始めたり、噛みごたえのある食材や繊維質な食材は細かく刻んで調理したり、ニラなど風味の強いものは加熱して和らげるなど、調理方法や量を工夫しながら進めてください。このように使える食材の幅が広がり、赤ちゃんの食べ方にも変化が現れる時期なので、離乳食後期には下記のような献立にチャレンジできます。
離乳食後期の献立例
- 3倍がゆ~軟飯
- 桜エビのおかゆ
- 一口おにぎり(軟飯をラップで成型する)
- ポテトしらすおやき
- ニラとしらすのチヂミ
- トマトソースうどん
- ひき肉入りうどん
- じゃがいものニョッキ
- 肉じゃが
- 野菜たっぷりポトフ
- 筑前煮
- わかめとにんじんの豆腐和え
- わかめと大根のお味噌汁
- あじのトマト煮
- つくねハンバーグ
- オクラの豆腐あんかけ
- 鶏だんご入りスープ
- スイートポテト
中期以前と比べると大人に近いメニューが増えますね!自分の手を使って好きな食材を食べたり、パパやママと一緒に食事ができたりと、「ご飯って楽しい♪」ということを赤ちゃんに知ってもらえると嬉しいですね。
3.離乳食後期(9~11ヵ月ごろ)の離乳食の作り方ポイント(かたさ・味付けなど)
かたさの目安
かたさの目安はバナナです。バナナくらいの柔らかさのものは歯茎でかむことができるようになります。中期の頃の大きさ(3~4mm角程度)に慣れていたら次は4~5mm角程度の大きさにして、歯茎で噛む練習をさせてあげてみてください。噛む練習の他に手づかみ食べの練習をする時期でもあります。
手づかみ食べの練習には柔らかく茹でたスティック野菜(にんじんや大根など)が向いています。おやきなどの丸い形状にかためたものも◎。この時、一気に口の中に入れてしまわないか、きちんと歯茎で噛めているかを注意深く見ることを忘れないでくださいね。
味付け
後期になると極少量の調味料が使えるようになります。
- 砂糖
- しょうゆ
- 塩
- 味噌
中期までと同様に素材そのものやだしの風味を味わってもらうことを意識しながら、調味料を使用するタイミングや量を調節します。後期に入ると離乳食にも慣れてきて遊び食べや食べムラが出てくる頃でもあるので、そういった時にほんのわずかの調味料を使って変化をつけるといったアレンジをすると食べてくれることも。味の薄さは、大人の1/4以下を意識してください。まだ赤ちゃんの内臓は完全に発達していないので、塩分の摂り過ぎには注意が必要です。
4.離乳食後期(9~11ヵ月ごろ)の進め方(1日のスケジュールや量など)
1日3回、大人と同じ回数の食事を取るようになるこの時期、どのようなスケジュールでどのくらいの量を食べさせてあげたら良いのでしょうか。
離乳食の回数と1回の食事の目安量
離乳食は1日3回。早朝や深夜は避けて、4時間程度は間隔を開けてスケジュールを組みます。なるべく毎日同じ時間帯に食べることを意識してください。パパやママも忙しいとは思いますが、大人と一緒に食卓に座るのもいいですね。食べる量については、目安は下記の通りです。
【1食あたりの目安量】
- 炭水化物・・・おかゆ90g、軟飯80g
- ビタミン類・・・野菜や果物30g~40g
- タンパク質・・・魚や肉15g、豆腐45g、全卵1/2個分
乳製品80g(※どれか1品を選んだ場合の目安量)
生後9~11カ月頃の赤ちゃんは体の動きも活発になってきて運動量が増える時期でもあります。そのため鉄分が不足しがちになるので、赤身の魚やお肉などをうまく取り入れながら、バランスよく献立を考えていきましょう。ベビーフードを取り入れるのも◎。
1日のスケジュール例
6:00 起床・授乳
8:00 離乳食+授乳
12:00 離乳食+授乳
17:00 離乳食+授乳
21:00 授乳・就寝
1日3回食が基本ですが、夕方の離乳食の時に眠たくなってしまったりお出かけで時間がずれてしまったり、私もこの時期の離乳食のリズムに慣れるのに苦労しました。そんな時は過度に焦ったり自分を責めすぎたりしないで、「明日調整してリズムを元に戻そう」と柔軟に考えるようにしました。
その日のスケジュールや赤ちゃんの体調・機嫌を考慮しつつ、今後の生活リズムの基盤を整えていきましょう。(“新しい食材のチャレンジは平日の午前中”という考え方はこれまでと同じです)
5.離乳食後期の不安や疑問
赤ちゃんの意思表示がはっきりしてきて、離乳食作りや食事の時間に苦労したり「このままでいいの?栄養は足りている?」などと不安になったりする離乳食後期。味付けの好みや食べられる量なども赤ちゃんによって違うので、戸惑いも大きいですよね。
「味付けの程度が分からない」
先述の通りしょうゆや砂糖など調味料が使えるようになるこの時期、何をどの程度使ったらいいか判断が難しいですよね。
まず基本の考え方として、何も調味料を使っていない&だしの味だけで赤ちゃんがよく食べてくれる場合は、調味料を無理に使う必要はありません。使用する場合は、1食あたり0.5g程度が目安とされています。醤油でいうと1・2滴ほど。風味付け程度でも、赤ちゃんにとっては大きな変化です。
塩分の摂り過ぎになってしまうので、調味料の併用(例えば味噌としょうゆで味付けする等)は避けましょう。砂糖に関しては、食材そのものにも甘味があるので基本的には使用せずに進めていきましょう。甘味が欲しい時は果物や野菜を上手に活用すると良いです。
「好き嫌いが出てきて、栄養バランスが心配」
離乳食も後期に入ると、授乳で半分以上の栄養を賄っていた離乳食初期・中期とは違い、1日に必要な栄養の60~70%を離乳食から摂るようになります。そうなると、食べる量が少なかったり食べムラがあったりした時に「栄養が足りているかな」「バランスが悪いかな」という心配が出てきます。栄養バランスの良い離乳食にするためには、初期・中期の頃と同じく「炭水化物」「タンパク質」「ビタミン類」の3つの栄養を揃えることが必要になります。
そして前回の離乳食中期の記事でも紹介したように「主食×おかず」の組み合わせを変えながら、3種類の栄養を取り入れていきます。まずは、1食の中に3種類盛り込むことを目指します。もしそれがうまくいかない場合は1日(3食)の中で、もしそれでも難しい時は1週間の中で…このように「絶対に毎回バランスよく食べさせなければ!」と考えすぎず、1食→1日→1週間と長い目で見てみてください。
好きなものばかり食べたがったり逆に嫌いな野菜は全然食べてくれなかったり、赤ちゃんの食べムラにも悩まされますが、そんな時は献立の幅が広がる時期ということを大いに活用して様々なバリエーションに挑戦してみましょう。例えば、苦手な野菜をおやきに混ぜる・初心に帰ってとろみをつけてみる・わずかな調味料で味に変化をつける・煮込んだり炒めたり調理法を変えてみる・食感を変えてみる・フォローアップミルクを活用する(お医者さんや栄養士さんに相談してみてください)など、たくさんの方法があります。頑張って工夫しても食べてくれない時は心が折れそうになりますが、その分食べてくれた時の喜びはひとしおですよ。
「遊び食べをしてしまう」
中期から後期にかけて、離乳食を手でぐちゃぐちゃと潰したり、机に広げてしまう「遊び食べ」をはじめてしまう赤ちゃんも多いでしょう。周りが汚れたり散らかったりしますし、「食べ物で遊ぶなんてお行儀が悪い!」とSTOPをかけてしまいがちですが、これも誰もが通る道。大切な成長過程と思ってどんと構えましょう。
大人からしたら一目で分かる食べ物。食べ物を見れば、その食感や特徴は一目瞭然。でも赤ちゃんは違います。「これ何かな?」「どろどろするな」「柔らかいな」「ぎゅっとすると形が変わるな」「あったかいな」・・・どれも初めてのことばかりで不思議がいっぱい。好奇心が出てきていろいろなものに興味が出てくる時期なので、食事以外の面でも「それ触っちゃだめ!」「壊しちゃダメ!」なんてことも多いのではないでしょうか?
その後の片付けなどを考えるとママの負担も増えてしまいますが、これも大事な成長の1つ。五感を必死に働かせて、経験を積んでいる最中なのです。衣服が汚れないよう袖付きのエプロンをする、下にはレジャーシートや新聞紙を敷くなどママのストレスを減らすような対策を取りながら見守りましょう。
また、赤ちゃんが遊び食べをする理由の一つに「大人の反応を見ている」こともあります。落としたおもちゃを拾っても拾ってもわざと落としたりすることがあるのと同じように、パパとママの反応をおもしろがって見ていることもあります。ですから、その都度怒ったり拾ったり・・・を続けていると赤ちゃんも遊び食べのクセがついてしまうのであまり反応しすぎないことも大切。「遊び食べ」は成長過程の1つであり、しばらく続きますが、これがクセになってはいけません。
「遊ぶ」「食べる」は全く別であることを理解させるためにも、遊び始めたらご飯を下げる、一定の時間が経っても食べなければ下げるようにしましょう。遊んでばかりでぜんぜん食べてない・・・と赤ちゃんが栄養を摂れていないことに不安を感じるかもしれませんが、この時期はまだ離乳食が全てではありません。ミルクやおやつで補うなどして神経質になりすぎないようにして下さいね。
市区町村のサービスを使ってみましょう
離乳食に関する悩みは、時期が進めば進むほど増えていくもの。ママ1人で悩んでしまったり気分が落ち込んでしまうこともあるかもしれません。私も、時間をかけて工夫したものを子どもが食べずに床に投げて悲しくなったり、SNSで見かける彩り豊かな離乳食を見て自分と比べてしまったりしていました。
そんな時に助かったのが市区町村のサービスの存在です。週に一度保健センターで行われていた栄養士さん栄養相談や離乳食の時期に合わせた離乳食教室など、各市区町村で行われている離乳食に関する催しをチェックして、参加してみることをオススメします。
話を聞いてもらうだけで気持ちがスッキリしたり具体的なアドバイスがもらえたり、離乳食教室では自分では知らなかった調理法や工夫が教えてもらえたり、「参加して良かった!」と思うものばかりでした。また、参加しているママたちも近い月齢の赤ちゃんを育てているので、悩みを共有できてとてもありがたかったです。心配事や悩みがあるときは、1人で抱え込まないでくださいね。
「食べさせてあげる」ことがメインだった時期を過ぎ、赤ちゃん自身が食事の楽しさを感じ始めます。行き詰った時には初心を思い出したり変化をつけたり周りに頼ったりしながら、「ご飯って美味しいね」「一緒に食べると楽しいね」とママ自身も楽しんでいきましょう。
最終更新日 2024年8月17日
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