鶏肉はメインから副菜までさまざまな料理にアレンジしやすく、牛肉や豚肉などの他のお肉と比べると安価で家計にも優しいのでよく購入するという方も多いでしょう。コレステロールや脂肪分が少なくて消化吸収が良いため、ダイエットにもピッタリ。必須アミノ酸やコラーゲンが豊富な鶏肉は部位ごとに違った効果が期待でき、その中でも特に身体にいい部位は健康食としても人気です。今回は鶏肉の栄養効能と豆知識をご紹介します。
1.栄養と効能
栄養
・ビタミンA
・ビタミンB1.B2.B6.B12
・ビタミンK
・ナイアシン
・イノシン酸
・グルタミン酸
・コラーゲン
・鉄分
・アンセリン
・カルノシン
・リノール酸
・メチオニン
・イミダゾールジペプチド
・カリウム
・トリプトファン
・パントテン酸
・カルシウム
・マグネシウム
・リン
・亜鉛 など
効能
・抗酸化作用
・細胞の機能低下を防ぐ
・動脈硬化の予防
・生活習慣病の予防
・貧血の予防
・精神的ストレスの軽減
・ダイエット効果
・目の健康維持
・認知症の予防
・骨や歯の健康維持
・糖尿病の予防
・骨粗鬆症の予防
・風邪の予防
・高血圧の予防
・免疫力を高めて丈夫な身体を作る
・皮膚炎や口内炎の予防
・睡眠の質の改善
・増血効果
・体内の余分な塩分を排出する
・美肌効果(シミやたるみの予防)
・アンチエイジング
・皮膚や粘膜を丈夫にする
・がんの予防
・鬱や総合失調症の予防や改善
・肝臓の毒素を排出して機能を向上させる
・肝臓に脂肪が貯蓄するのを防ぐ
・二日酔いの予防 など
2.種類
鶏肉の種類は大きく分けると「ブロイラー」「地鶏」「銘柄鶏」の3つに分類され、スーパーなどで売られている鶏肉のうちのほとんどがブロイラーです。
ブロイラー(若鶏)
地鶏
名古屋コーチン、比内地鶏、さつま地鶏 など
地鶏の定義
- ひな鶏は在来種由来の血液が50%以上のもので、出生の証明ができているものを使用している。
- ふ化してから75日以上飼育している。
- 生まれてから28日齢以降は、鶏が鶏舎や屋外を自由に運動できるような「平飼い」の環境の中で飼育されている。
- 28日齢以降、1平方メートルあたり10羽以下で飼育されている。
銘柄鶏
南部どり、大山どり、赤鶏さつま など
鶏肉にはさまざまな部位があり、それぞれ栄養価や味に特徴があります。料理や目的に合わせて使い分けるのがおすすめです!
むね肉
もも肉
ささみ
砂肝
ココロ
レバー
手羽(手羽元・手羽中・手羽先)
ぼんじり
せせり
とり皮
鶏ガラ
3.お店で選ぶときの見分け方
選ぶポイント
- 肉厚でピンク色をしており、みずみずしくてツヤがあるもの
- 適度な硬さで、弾力があるもの
- 皮は細かいシワが入っていて、毛穴が高く盛り上がっているもの
トレーを傾けたときに肉汁(ドリップ)が出ているものは、お肉の旨みや栄養素が流れ出てしまっているため避けましょう。
4.保存方法
鶏肉は牛肉や豚肉などの他のお肉と比べると水分量が多く、痛みやすいです。そのため、冷蔵で2〜3日を保存の目安として、購入後はなるべく早めに食べ切るのがおすすめ。使いきれないとき、すぐに食べないとき、まとめ買いした場合などは冷凍保存すると長持ちしますよ。保存する前に鶏肉をトレーから取り出して、お肉から出ている水分(ドリップ)をキッチンペーパーなどでしっかりと拭き取ってからラップで包んで冷蔵庫に入れましょう。冷凍保存する場合も同じ手順で下準備してから冷凍庫に入れればOK。1ヶ月程度は保存が可能です。ひき肉になっている場合は空気に触れている部分が多いので、冷凍でも2週間以内に使い切るようにしてくださいね。
5.下ごしらえ方法・切り方
鶏肉を調理する前に下ごしらえをしておくと、余分なカロリーをカットできたり口当たりが良くなります。部位ごとに合った下ごしらえをしましょう。
むね肉・もも肉の下ごしらえ方法
- 皮についている黄色っぽい脂の部分を、皮が剥がれてしまわないように注意しながら包丁または調理ばさみで取り除く。
- 皮の表面をフォークで数カ所刺して穴を開ける。
- 繊維に沿って切れ目を入れて鶏肉を開き、厚さが均等になるようにする。
ささみの下ごしらえ方法
- 白くて太い筋のついている面を上にして、筋の両側に包丁の先を使って切り込みを入れる。
- ささみを裏返したら筋の端を手でしっかりと持ち、包丁で押さえるようにしながら引っ張って筋を取り除く。
鶏肉の切り方
ぶつ切り
- 鶏肉を横向きに置き、3cm幅くらいに切っていく。
- 切った鶏肉を横向きに置いて、再度3cm幅くらいに切る。
そぎ切り
- 鶏肉を縦半分に切る。
- 切った鶏肉を横向きに置き、包丁を寝かせて左端から削ぐようにしながら切る。
細切り
観音開き
- 鶏肉を縦向きに置き、包丁を寝かせて中央から両側に向かって同じ厚さになるようにしながら切り込みを入れていく。
- 扉が両側に開いたような形にしながら、切り離さないように注意して切る。
6.加熱時間
目では見えませんが、鶏肉は高い確率でカンピロバクターという細菌に汚染されています。そのため、加熱が不十分だと食中毒を引き起こすことも。表面だけではなく、中までしっかりと火を通すように注意しましょう。カンピロバクターを死滅させるには、お肉の中心部を75℃以上で1分以上の加熱が必要になります。表面が焼けていても中が生焼けだったり、焼きムラがあることもありますので、焼き具合をしっかりとチェックすることが大切です!
また、鶏肉を炒め物や揚げ物などの油を使って調理する場合、脂質が増えた分カロリーも高くなります。鶏肉は他のお肉と比べると低カロリーの食材ですが、ダイエット中や身体作りをしていてカロリーが気になる場合は、蒸すまたは茹でる、油を使わない調理方法を取り入れるのがおすすめです。茹でることで鶏肉の余分な脂を落とせるので、カロリーカットにも繋がりますよ。
フライパンや鍋を使う場合
- 照り焼きなどの焼き物
皮目を5分、裏返して弱火で3分、調味料を入れて仕上げるまで2分加熱する。調味料を入れると焦げやすくなるので火加減に注意しましょう。 - 唐揚げなどの揚げ物
180℃の油で5〜6分加熱する。2度揚げする場合は180度の油で1分30秒ほど加熱し、一度油から上げ、4分おいてから再度油に入れて40秒〜1分ほど加熱する。 - バンバンジーやサラダのトッピングなどの茹で鶏
水を入れた鍋に鶏肉を入れて火にかけ、沸騰させる。沸騰したら弱火にして3分加熱し、鶏肉を裏返したらさらに再沸騰させて3分加熱する。火を止めて鍋に蓋をしたらそのまま余熱で加熱しつつ、冷めるまでおく。
電子レンジを使う場合
グリルを使う場合
電気ポットや炊飯器を使った低温調理の場合
上記の時間は全て常温に戻した鶏肉を調理する場合です。鶏肉の大きさや厚さによって加熱時間や焼き加減が変わってくるので、あくまで目安として参考にし、その都度ちゃんと火が通っているか必ず確認してくださいね。お肉が分厚すぎたり、冷蔵庫から出してすぐに調理すると温度が低いため、火が通るのに時間が掛かるので注意が必要です。一度加熱した鶏肉が生焼けだった場合は、しっかりと再加熱しましょう。生焼けかどうかの確認と、再加熱する場合には以下の方法があります。
加熱した鶏肉の確認ポイント
- 鶏肉の中心温度を計る(75℃以上になっているかどうか)
- 肉汁の色を見て判断する(血が混ざったような赤っぽい色の肉汁が出る場合は生焼け)
- 表面よりも切り口の色を確認する(切ってみて中心部が白くなっていればOK)
生焼けの鶏肉の再加熱の方法
フライパンを使う場合
鍋を使う場合
グリルやオーブントースターを使う場合
※電子レンジは加熱ムラができやすく、お肉もパサつきやすいため再加熱にはおすすめしません。
生焼けの鶏肉の再加熱の方法
フライパンを使う場合
鍋を使う場合
グリルやオーブントースターを使う場合
※電子レンジは加熱ムラができやすく、お肉もパサつきやすいため再加熱にはおすすめしません。
生焼けの鶏肉の再加熱の方法
フライパンを使う場合
鍋を使う場合
グリルやオーブントースターを使う場合
※電子レンジは加熱ムラができやすく、お肉もパサつきやすいため再加熱にはおすすめしません。
7.鶏肉と相性の良い食材
ビタミンCを豊富に含んでいるもの
ビタミンCにはコラーゲンの生成を助ける働きがあるため、鶏肉とビタミンCを多く含んでいるものを一緒に食べると鶏肉に豊富に含まれているコラーゲンをより効率的に摂ることができます。
カツオ、まぐろ、バナナ、ブロッコリー、アボカド、納豆などのビタミンB 6を豊富に含んでいるもの
ビタミンB6にはたんぱく質の合成を促す作用があり、たんぱく質の代謝をサポートしてくれます。たんぱく質の他にも、糖質や脂質のエネルギー代謝にも効果的です。そのため、たんぱく質が豊富な鶏肉とビタミンB6を豊富に含んでいる食材を一緒に食べることでさまざまな相乗効果が期待できます。
しめじ、椎茸、エリンギ、舞茸などきのこ類
鶏肉と一緒にビタミンDを豊富に含んでいるきのこ類を食べると、筋肉の合成をより効果的に促し、カルシウムの吸収を助ける働きも期待できます。きのこの旨み成分と淡白な味わいの鶏肉は味の相性も良いので、煮物や炒め物などいろいろな組み合わせのメニューで楽しめますね。
卵、乳製品
卵や乳製品に含まれている鉄分は「非ヘム鉄」という種類の鉄分で、ヘム鉄と比べると体内に吸収されにくいという特徴があります。この非ヘム鉄は動物性のたんぱく質と相性が良く、一緒に摂ることで吸収されやすくなるため、たんぱく質を豊富に含んでいる鶏肉と合わせて食べると卵や乳製品に含まれている鉄分の吸収率を上げることができるのでおすすめ。また、鶏肉に含まれている鉄分は「ヘム鉄」なので、たくさん種類の鉄分を摂ることができますね。
8.鶏肉の豆知識
鶏肉を美味しくする調理のポイントとコツ
- お肉の臭みを取る
鶏肉の皮にベッタリついている黄色っぽい脂の部分は、そのまま調理すると臭みの原因になることがあります。脂部分を全て取ろうとすると皮が剥がれてしまうため、キッチンバサミなどを使って取れる範囲で切り取るようにするのがおすすめです。 - パサつき対策をする
鶏肉は含まれている水分が多く脂は少ないため、特にむね肉やささみは加熱することで水分が流出してパサつきやすくなってしまいます。そのためパサつかないように調理方法を工夫したり、調理前に一手間加えて対策をするのがおすすめ。鶏肉を茹でて調理する場合は沸騰したお湯で1〜2分加熱したら火を消して、鍋に蓋をして余熱を利用して約1時間かけてじっくりと火を通しましょう。お湯の温度を65〜75度ほどに保つとしっとりとした食感に仕上がります。鶏肉を焼いて調理する場合は、片栗粉または薄力粉を表面にまぶしてから焼くと、鶏肉のがコーティングされて中の水分が流出しにくくなり、パサつかずに柔らかく仕上げることができますよ。もしも時間に余裕がある場合は、水の量に対して5%の塩と砂糖を溶かした「ブライアン液」を作り、鶏肉を漬け込んでから加熱する方法がおすすめです。保水性が上がってパサつき知らずのジューシーな味わいになりますよ♡
- 焼き縮まらないようにする
もも肉やむね肉をカットせずに1枚丸ごとソテーすると、縮んでギュッと固い食感になってしまうことがあります。焼き縮みを防ぐには、事前に鶏肉の筋を断ち切るように筋切りしましょう。深く包丁を入れてしまうとちぎれてしまうこともありますので、1cmくらいの深さでOKです。また、包丁を出すのが面倒な場合はフォークを使って皮に数カ所穴を開ける方法も手軽で効果的なので、試してみてくださいね。
地域でなぜ違う?鶏肉の呼び方
元々は日本では家畜を獣肉食にする習慣が根付いておらず、仏教が日本に伝わって以来はタブーとされていました。しかし、美味しい肉を食べたかった当時の日本人は鶏肉や馬肉、イノシシの肉などに隠語をつけてバレないようにしながらこっそりと食べていたそう。鶏肉の隠語として日本在来種の褐色の鶏を、葉が茶色く変色した柏の葉っぱや木に似ていることから「かしわ」と呼んでいました。江戸時代の後期には鶏肉を食べる文化が一般的に定着しましたが、その頃には関東では日本在来種のかしわよりも軍鶏(しゃも)の人気が高くなり、関西ではかしわを食べるようになったそう。そのことから、関西地方では鶏肉のことを「かしわ」と呼ぶのは方言ではなく、好んで食べる鶏の種類の違いが由来となったようです。アメリカ発祥の白い鶏・ブロイラーが主流になるにつれて「かしわ」という呼び名もだんだんと使用されなくなり、現在では限られたエリアで呼ばれる形になりました。
鶏肉に旬の時期ってあるの?
鶏肉が引き起こす食中毒とは?
鶏肉が引き起こす食中毒で多いのは「カンピロバクター菌」または「サルモネラ菌」という細菌が原因です。これらが原因となる食中毒になると、カンピロバクターは食べてから約7日以内、サルモネラ菌は約8〜48時間以内に嘔吐・腹痛・下痢・発熱などの症状が現れます。食中毒の症状は急激に悪化することもありますので、症状が出た場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
部位ごとに違った味わいが楽しめて、身体にも良い鶏肉。食卓に登場する回数も多いと思うので、食中毒に注意しながらいろいろなメニューを作ってみてくださいね♪
最終更新日 2024年6月12日
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