寒くなってくると何だか食べたくなるかぼちゃは、ここ数年大ブームのハロウィンの主役。12月の冬至には「かぼちゃを食べると風邪を引かない」とも言われています。実はかぼちゃには皮や種にまで栄養がたっぷり入っているので、身体へのすごい効果が期待できるんですよ。今回は、煮物にも天ぷらにもスイーツにもなるかぼちゃの栄養と豆知識をご紹介します。
1.旬の時期
かぼちゃは6~9月くらいまでの夏場に収穫されていますが、収穫したては水分が多く糖分が少ないためあまりおいしくありません。収穫してから3ヶ月ほど寝かせて熟成させるとでんぷんが糖分に変化して甘くなり、水分が抜けて栄養価も上がるのでホクホクのおいしいかぼちゃになります。その為、かぼちゃの旬の食べ頃は9~12月の冬の時期ということになります。
長期保存がきき、保存中でも他の野菜に比べて栄養素が失われにくいというメリットがあるので冬至の時期の貴重な栄養源として昔から重宝されてきたと言われています。
2.栄養と効能
かぼちゃは野菜の中でもトップクラスの栄養素を持っており、緑黄色野菜の代表的存在です。特に豊富に含まれているのが三大抗酸化ビタミンと呼ばれるβ-カロテン(ビタミンA)、ビタミンE、ビタミンC。β-カロテンは粘膜や眼を保護する働きがあり、ビタミンEは血行促進や冷え性の緩和の効果があるので別名「若返りのビタミン」と呼ばれています。
日本人の食事に特に不足しがちで疲れている時におすすめのビタミンB1と、皮膚や爪などの健康を維持すると言われているビタミンB2などもバランスよく含まれていて、糖質・脂質のエネルギー代謝を活発にしてくれる効果もあります。腸まで届くと言われている食物繊維も多く含まれているので便通の改善や血圧の急激な上昇を防いだり、新陳代謝、生活習慣病や動脈硬化・ガンの発生や進行を抑制、冷え性の緩和、免疫力アップ、細胞の老化予防などたくさんの効果が期待出来ます。
また、捨ててしまいがちな種やワタにも栄養素が豊富に含まれているのをご存知でしょうか?ワタは食物繊維のかたまりで、カロテンやビタミンKも含まれています。かぼちゃの種にはポリフェノールの一種で「リグナン」と呼ばれる育毛に効果的な栄養素や、たんぱく質、鉄分、血中のコレステロールを減少させる作用があるリノール酸も多く含まれています。漢方の世界では「南瓜仁」と呼ばれ、重宝されています。種を炒って殻を割って食べるのも良いですが、味が付いていておいしく食べられる市販のかぼちゃの種もありますよ。
3.種類
かぼちゃの種類は西洋かぼちゃ・日本かぼちゃ・ペポかぼちゃの大きく3つに分けられます。
西洋かぼちゃ
市場で一番主流になっているのが、別名「栗かぼちゃ」と呼ばれる西洋かぼちゃです。皮がつるっとしていて甘みが強く、ホクホクとした食感が特徴。栄養価もかぼちゃの中では一番高く、スイーツの材料としても使われています。主な品種として、えびす南瓜・みやこ南瓜・坊ちゃんかぼちゃなどがあります。
日本かぼちゃ
今では生産量が少なくなってきている日本かぼちゃは、水分が多くねっとりした食感で甘みも少ないので煮物におすすめ。表面はごつごつしていて、上から見ると菊のように見える溝が入っているものもあります。代表的な品種は小菊南瓜・黒皮南瓜・バターナッツなど。
ペポかぼちゃ
「観賞用のかざりかぼちゃ」や「おもちゃかぼちゃ」と呼ばれることもあるペポかぼちゃは、日本の食卓にはあまり馴染みがないので食べるものではないと思っている人も多いですが、実は栄養満点。味は比較的淡白で、いろいろな形や模様のものがあります。代表的な品種はズッキーニ、茹でると実がそうめん状になるそうめん南瓜などがあります。
また、ペポかぼちゃは実だけではなく種にも栄養素が豊富に含まれています。ペポかぼちゃの種は普通のかぼちゃの種と比べると柔らかくて食べやすいので、パスタやお菓子のトッピングとして使ったり、ごま油でさっと炒めて手軽なおつまみとしても楽しむことが出来ます。
4.食べ頃と見分け方
かぼちゃは熟成が足りないと水っぽく甘くないので、ヘタがコルク状にしっかり乾燥していて周りがくぼんでいるものを選びましょう。皮の一部がオレンジ色になってきているものが食べ頃の目印です。
おいしい完熟かぼちゃの見分け方
- 丸ごとの場合
- カット済みのもの
・皮に艶があって色が濃い。
・重量感があって硬い。
・切り口が鮮やかで果肉の色が濃い。
・種がしっかりふくらんで詰まっている。
・ワタがあまり乾いていない。
5.保存方法
かぼちゃは皮が分厚いため、そのままなら2~3ヶ月の長期保存が可能です。新聞紙などで包み、陽の当たる場所は避けて、涼しくて風通しの良い場所に保管しましょう。
切って保存する場合は、ワタと種を取り除き、空気に触れないようにラップでぴったりと包んで冷蔵庫の野菜室に入れます。
6.切り方
皮が硬く、切るのに苦労しがちなかぼちゃですが、簡単に切ることが出来るコツがあります。最初に電子レンジに少しかけてから切ると格段に切りやすくなるんです♪かぼちゃ100gに対して30秒ぐらいを目安に加熱してみて下さい。包丁の刃が入りやすいだけでなく、断面の切り口がきれいに仕上がるというメリットもあります。カットされたものを加熱する場合は流水でさっと濡らし、ラップで包んでから電子レンジに入れて下さいね。
生のまま丸ごと切りたい場合、ヘタや周りは特に硬いのでヘタを避け、包丁の刃先ではなく刃全体に力が掛かるようにしてまずは半分に切ります。ヘタの真上から切ろうとしたり、刃先だけで切ろうとすると手を滑らせたり包丁が刺さって抜けなくなってしまったりして危険なので気を付けましょう。半分になったら、包丁の刃先部分でヘタの周りに三角形に切り込みを入れ、ヘタを取り除きます。その後4分の1に切り、種とワタを取ります。そこからは角切り、薄切り、さいの目切り、細切りなど料理に合わせてお好みの大きさにカットして下さい。
かぼちゃを切るときには、必ず切り口(平らな面)を下にすること、一気に切ろうとしないことが大切です。切り口を下にすることでかぼちゃが安定し、滑らずに安全に切ることができ、包丁の力も均等に入って切りやすくなりますよ。かぼちゃの皮は火が入りにくいので剥かれてしまいがちですが、皮の周辺は特に栄養価が高いのでところどころ落とす程度にし、皮までおいしく食べるように調理するのがおすすめです♡
7.加熱時間
茹でる・・・一口大にカットしたもので約10分
レンジ・・・一口大にカットしたもので水をかけて約2分
かぼちゃはゆっくり加熱することでどんどん甘くなります。種類と量にもよりますが、煮物の目安は約15分。周りのふちを取って面取りをして、かぼちゃが踊らないように火加減を気をつけながら煮ると煮崩れが防止出来ますよ。皮の硬いかぼちゃはあらかじめ電子レンジで下ごしらえしておくだけで加熱時間の短縮になり、料理の時短に繋がります。ある程度加熱しておけば冷凍保存することも出来るので、必要な時に手間なく使えてとっても便利です。
8.レシピ
グラタンや煮物が主流のかぼちゃですが、他にもたくさんのレシピの使えます。
9.かぼちゃと相性の良い食材と期待出来る効果
かぼちゃと相性が良く、より効率的に栄養を摂取出来る食材は色々あります。
ナッツ類
ナッツ類に含まれる脂質にはかぼちゃに豊富に含まれているβ-カロテンやビタミンEの吸収を助ける働きがあります。また、ナッツ類のカリカリとした食感がホクホクのかぼちゃと合わさると良いアクセントになりますよ。
乳、乳製品
かぼちゃのβ-カロテンに牛乳や乳製品に含まれている良質なたんぱく質がプラスされると免疫力のアップが期待できます。甘いかぼちゃに牛乳や乳製品がコクを追加してくれるのでまろやかで優しい味わいになります。
豆類
豆類のたんぱく質とかぼちゃのβ-カロテン、ビタミンCの相乗効果で疲労回復や免疫力アップにつながります。豆類の歯ごたえもかぼちゃ料理に合いますよ。
油
かぼちゃに含まれるβ-カロテンは体内でビタミンAに変換されるのですが、ビタミンAは脂溶性なので、油と一緒に摂取することで体内への吸収力がグンと上がります。また、同様に脂溶性のビタミンEも油と相性が良いビタミンです。
かぼちゃにはビタミンCも多く含まれているのですが、ビタミンCは水溶性のため熱に弱く失われやすいのが弱点。他の野菜の場合は揚げたり炒めたりするとビタミンCが壊れてしまうことが多いのですが、かぼちゃは良質な炭水化物や食物繊維が豊富に含まれていてビタミンCを包んで守ってくれるため、加熱しても壊れにくいという素晴らしい特徴があります。
油と一緒に加熱するとビタミンA、Eの吸収力が上がり、ビタミンCを壊さずに摂取出来るので抗酸化作用が高くなります。
他にも
・にんじん、なす、ほうれん草・・・ガンの予防
・アスパラガス、くらげ、わかめ、小豆・・・腎臓病によるむくみの解消
・シイタケ、えんどう豆、牛肉、カツオ・・・胃腸を丈夫にして体力を増強する
・ふき、昆布、銀杏、栗、はちみつ・・・気管を整えて咳や痰を抑える
などと一緒に摂取すると、相乗効果で栄養価が上がります。
10.かぼちゃの豆知識~ハロウィン~
日本でもここ数年盛大なイベントとなっているハロウィン。色々な飾り付けをしたり仮装をしたり、みんなで盛り上がれて楽しいですよね。【ハロウィン=かぼちゃ】というイメージが強いと思いますが、なぜハロウィンにがぼちゃが使われるようになったのでしょうか?ハロウィンは古代ケルト人が行っていた『万聖節』という宗教的な儀式が起源とされているのですが、秋の収穫祭の日にやってくる祖先の霊を迎え悪霊を追い払うために魔除けとして、元々はかぼちゃではなく、かぶをくり抜いて焚き火を炊いたり仮面を作ったりしていたそうです。
キリスト教の文化圏に広がった際、かぶに馴染みの少ない文化圏では代わりに収穫量の多かったかぼちゃを使うようになったことがハロウィンかぼちゃの発端になったといわれています。キリスト教が世界中に広まったため、ハロウィンといえばかぼちゃの提灯というのが定番になりましたが、現在でもスコットランドやアイルランドなどの本場の地域では、かぼちゃではなくかぶを使っているそうですよ。由来や逸話を詳しく知っていくと、ただのイベントもお祭りとしてもっと楽しめるようになりますね!
かぼちゃは美容や病気の予防にも効果が高い栄養たっぷりな野菜です。色々なかぼちゃ料理を楽しみながら、たくさん栄養を取って下さい♪
最終更新日 2024年8月16日
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