妊娠すると身体には様々な変化が起こりますが、最初に起こるのが悪阻(つわり)。悪阻の程度にも個人差がありますが、妊娠が分かると「いつから始まるの?」と不安になり、なったらなったで「いつまで続くの?」と苦しむ方も多いです。病気でないとはいえ、妊娠中は情緒不安定になりがちなので些細なことでも心配になりますよね。そこで今回は、プレママさんが知りたい悪阻の種類や時期、症状などについてまとめてみました。
1.悪阻が起こるメカニズムとは?
妊娠して悪阻が始まると、気分が悪くなったり吐き気を催したりする他、眠気・だるさなど様々な症状が現れます。症状には個人差がありますが、日常生活に影響が出てしまうほど辛い症状が続くこともあります。ではなぜ悪阻が起こるのか、そのメカニズムについては様々な説があります。その中で、子宮の中にできる絨毛組織からhCG(ヒト絨毛性ゴナトロビン)というホルモンが出て、それが関係しているという説が有力だとされています。しかし、「ホルモンバランスの急激な変化によって自律神経が不安定になる」「妊娠による体調の変化が不安やストレスをもたらして悪阻を引き起こす」など諸説あり、はっきりとした原因は解明されていません。
悪阻が全くない人もいるの?
2.悪阻はいつからいつまで?
悪阻の期間も人によって様々です。
- 始まり…5~6週頃に始まる方が多いですが、早い人は妊娠4週頃から悪阻の症状が現れ始めます。中には生理の遅れに気付くより先に悪阻の症状を感じる方もいます。
- 悪阻のピーク…8~9週頃の症状が一番辛く、悪阻のピークを迎える方が多いです。
- 軽快…10週頃に悪阻が治まることもあれば出産まで続くこともありますが、多くは16週頃、胎盤が完成する頃までに辛い症状が楽になると言われています。
悪阻が始まると、出口の見えない道に迷い込んだような感覚を覚えるかもしれません。「こんなに辛い症状がいつまで続くの?」とナーバスになることもありますが、悪阻は時期が来れば治まります。それまでは後述する“悪阻を乗り切る工夫”を試したり症状が軽い時に気分転換をしたりして、無理せず過ごしましょう。
3.悪阻の種類と症状。症状がひどい時は?
悪阻と聞いて思い浮かぶ症状といえば「吐き気」ですが、悪阻の症状は実に様々です。
悪阻の主な種類
- 吐きづわり…何を食べても吐いてしまう、特定の食べ物以外受け付けなくなってしまう(食べようとすると気分が悪くなり吐いてしまう)といった症状が現れます。
- 食べづわり…常に何かを食べていないと気分が悪くなってしまうタイプの悪阻。起床時など血糖値が下がる時に起こりやすいと言われています。
- 眠りづわり…強い眠気に襲われ、いくら寝ても寝足りないという症状が出る悪阻。常に眠たくて体がだるく、日常生活や仕事に支障が出てしまうことも。
様々な悪阻の症状
- 体がだるい、疲れやすい
- においに敏感になる
- 唾液が多くなる、唾液を不快に感じる
- 食べ物の好みが変わる、偏食気味になる
- 食欲が出ない
- 便秘や頻尿
- 歯みがきが辛い
このように、吐きづわり・食べづわり・眠りづわりの他にも人によって様々な悪阻の症状が現れます。時期によって変化することもあるので、その時の症状に合わせた対策を取りましょう。「立っていると気分が悪くなる」「朝の症状が一番辛い」など自分の症状の傾向が分かってくると対策が取りやすくなります。
悪阻がひどくて入院することはある?
妊娠悪阻のチェックポイント
- 常に吐き気があって食事も水も摂れない
- 1日に何度も吐く
- 尿の量が少ない、または出ない
- めまいがする
- 体重が週に1~2kg減った
このような気になる症状があれば受診しましょう。
4.辛い症状を乗り切る工夫
悪阻の症状が続くと、体調面だけでなく精神面にも影響が出ます。辛くなったり涙が出てきたり、仕事や家事・上の子の育児に支障が出てしまうこともあります。家族やかかりつけ医、職場の上司など周りに相談しながら、悪阻が治まる時期まで工夫しながら乗り越えていきましょう。
【症状別】悪阻を乗り切る工夫
吐いてしまう
水分が飲めない
食欲がわかない
お腹が空くと気持ちが悪い、寝起きの気分が悪い
においが気になる
眠気がひどい
【生活編】辛い症状を乗り切るためにできること
身に付ける物を変えてみる
1人で抱え込まない
「母性健康管理指導事項連絡カード」を使う
5.妊娠中に役立つ本5選(参考文献)
①『あんしん、やさしい 最新 妊娠・出産オールガイド』
月間875万人に利用されている、妊娠・出産・育児に役立つ記事が多数掲載されたサイト「ベビーカレンダー」という会社が制作した1冊。産婦人科医・小児科医・皮膚科医・助産師・管理栄養士・ファイナンシャルプランナー・保育士・離乳食インストラクター・柔道整復師といった専門家の方々が監修した内容が掲載されています。現役の専門家30名による最新情報の解説や、8万件以上ものママたちのリアルな声を基にしたQ&A、そして各所に乗っているQRコードにアクセスすることでより分かりやすい解説動画が視聴できるようになっています。妊娠初期のママの身体の変化や週ごとのママ・赤ちゃんの様子、妊娠中の食事や気を付けたいポイント、出産、産後のママと赤ちゃんの過ごし方など、ママたちが知りたいことが詰まった1冊です。
②『たまごクラブ特別編集 最新!初めての妊娠出産新百科 mini』
沢山の妊婦さんが手に取る雑誌『たまごクラブ』編集の、妊娠・出産のあらゆる不安や疑問を解消できる本です。膨大な情報量が掲載されていますが、持ち運びにも便利なminiサイズになっています。悪阻を上手に乗り切るコツや、育児用品準備・里帰り・働く妊婦さんに役立つ情報・お産に向けた心構えなど妊娠中に知りたいあらゆる情報がイラスト・表付きで載っています。妊娠中のトラブルについても症状別に詳しく解説されているので、1冊あると心強い味方になってくれるでしょう。気になるお金の知識やパパの心得特集もあります。
③『最新決定版 妊娠全百科』
順和会山王病院の副院長である北川道弘先生が総監修を務める『最新決定版 妊娠全百科』。妊娠生活10ヶ月のカレンダーや超音波写真で見る赤ちゃんの成長、赤ちゃんのお世話のコツなど、写真付きで分かりやすいとじ込み便利シートがついています。各パートの解説にも写真が豊富に使われていて、リアルなイメージがしやすくなっています。エクササイズのやり方や妊娠中に起こりやすいトラブルのケア方法なども写真付きで詳しく掲載されています。Q&Aも随所に載っているので、妊娠初期から出産までの心配や不安に寄り添ってくれる1冊です。
④『35歳からのはじめての妊娠・出産・育児 安心BOOK』
東京都保健医療公社 豊島病院の産婦人科部長である大鷹美子先生と小児科部長の中澤友幸先生が監修した1冊で、大鷹美子先生ご自身の経験にも基づいた情報が詳しく載っている本です。「そろそろ赤ちゃんが欲しいな」と考え始めたタイミングから、妊娠中~出産~赤ちゃんの育児に至るまで知りたい情報が詰まっています。特に、タイトルにもある通り30代以上のママさんに向けて、年齢による心配事や不安な気持ちを解消してくれるような役立つ解説や対策がイラスト付きで載っています。「妊娠中の不安を解消し、より良い時間を過ごしてもらうため」「迷ったら、わからなかったら手に取ってください」という大鷹美子先生の気持ちが込められた1冊。
⑤『コウノドリ はじめての妊娠・出産ガイド』
医師兼ジャズピアニストの鴻鳥サクラが主人公の、妊婦とその家族を題材にした人気漫画『コウノドリ』。綾野剛さん主演でドラマ化もされました。その『コウノドリ』に登場するサクラ先生と一緒に妊娠や出産について学べるのが『コウノドリ はじめての妊娠・出産ガイド』です。実際に漫画に登場するコマやセリフが登場し、「もしかして妊娠?」「妊娠中に気を付けること」「お母さんと赤ちゃんの変化」「不調や不安について」「出産準備」などそれぞれの時期に気になることを詳しく教えてくれます。漫画やドラマと併せて読むと、より一層知識が深められますよ。
悪阻は時にママたちの身体に辛い症状をもたらします。その期間を少しでも安心して過ごせるように、症状に合わせて対策を取りながら無理せず過ごしていきましょう。
最終更新日 2024年11月20日
この記事へのコメントはありません。