災害が起きたとき、パパ・ママの頭に真っ先に浮かぶのは「子どもを守りたい」という思いではないでしょうか?そのための準備は万全でしょうか。災害が起きた時に命を守るもの・避難生活で役立つもの・子どもたちの心を少しでも明るくしてくれるものなど、備えておきたい防災グッズはたくさんあります。この記事では、おやつから遊び道具に至るまで、子連れ家庭におすすめの防災グッズを紹介いたします!
1.実際に被災したママたちの声
おすすめの防災グッズを紹介する前に、実際に東日本大震災を経験したママたちの声を紹介させてください。実際に被災したママたちのリアルな声を聞いて、もしもの時を想定しながら防災グッズを準備する際により一層「しっかり備えておかなければ」という気持ちを強く持っていただけたらと思います。
震災が起きた瞬間・直後
「何が起きたのか、分からなかった。子どもに覆いかぶさった」
「今出てこないで!とお腹の子に向かって叫んだ」
「(外出先で)3~4時間、その場を動けなかった」
「子どもの保育園は無事?!それだけが頭の中を駆け巡った」
「とても、現実だとは思えなかった」
「何もできない」
「とにかく子どもを抱きかかえた」
震災から2~3日後・避難生活
「水の確保に奔走した」
「自宅避難だと情報が入らない」
「車の中で過ごした」
「(避難所に行ったが)食料が尽きた、と言われた」
「震災でグチャグチャ。でも自宅が一番安心だった」
「子どもが泣くので、避難所にいることができなかった」
「お金のことが心配になった」
「予防接種のスケジュールがわからなくなった」
「授乳・オムツ替えが困難。子どもに“申し訳ない”と思った」
仮設住宅生活
「プライバシーがない」
「支援に差がある」
「水回りが不便」
このように、お子さまがいるご家庭が災害に遭った場合、その瞬間~避難生活まで、多くの困難や悩み・不安を抱くことになります。お子さま自身の体調や心が不安定になってしまうこともあります。
「もしもの時に本当に必要なものは?最低限備えておきたい防災グッズリスト」の記事で、3種類の防災グッズ(自宅で数日過ごすための防災グッズ・避難生活を送る際に必要な持ち出し用防災グッズ・持ち歩き用防災グッズ)を紹介しました。これらを揃える際には、大切なお子さまを守るためのグッズも一緒に準備しておきましょう!それでは次項から、具体的なおすすめグッズを項目別に紹介していきます。
2.【食べ物】子連れ家庭に備えておきたい防災グッズ
食べ物は、生きていく上で必要不可欠なもの。3度の食事以外にも、おやつの存在は不安が募る被災後のお子さまの気持ちを癒してくれる存在でもあります。
子連れ家庭に備えておきたい食べ物リスト
離乳食
避難生活の中で、離乳食を手に入れることが難しい状況になってしまうかもしれません。レトルトのものや瓶入りのものなど開封したらすぐに食べられるものを備えておきましょう。現在の月齢用のものに加えて、少し先の月齢用のものも入れておくと良いです。ローリングストック(少し多めに買い置きしておき、賞味期限の近いものから使用してその分をまた補充する備蓄方法)を実施することをおすすめします。
ガム(お子さまの年齢には注意)
ガムは口さみしさや空腹感を満たしてくれますし、歯磨きができない時に口の中をスッキリさせてくれる効果もあります。
防災おやつ
防災おやつとは、「水が使えない非常時に手を汚さずに食べられる放送で、子どもたちの脳に必要なアミノ酸や栄養が豊富である」おやつを指します。代表的な防災おやつには、「えいようかん」(5年保存ができる羊羹)、「グリコビスコ保存缶」(5年保存ができるビスコ)などがあります。その他の市販のおやつでも、チョコレートやクッキーなど、個包装になっているものを備えておきましょう。おやつも、ローリングストックを推奨します。
栄養補助食品
SOYJOYやカロリーメイトといった栄養補助食品は、防災グッズとして備えておくと手軽に栄養を補給できます。
缶切りのいらない缶詰
さんまの蒲焼きやいわしの蒲焼き、コーン、シーチキン、サバの味噌煮など、缶切りの要らない缶詰は防災用の備蓄にピッタリ。ローリングストックを実践しながら普段の料理に取り入れておくと、非常時に食べ慣れない保存食品でお子さまの食が進まなくなってしまうことを防げます。
梅干し
梅干しは、クエン酸効果で疲労回復効果もありますしお腹の調子も整えてくれます。非常用のお米と一緒に食べても良いですし、口さみしい時に食べるのも◎。
無洗米
たくさんの水が使えない非常時に、無洗米はとても役に立ちます。こちらも、普段の食事から取り入れておくのもいいですね。
個包装のお餅(お子さまが食べる際は要注意)
お餅は腹持ちが良いので、非常時の主食になります。
スキムミルク
普段牛乳をよく飲むお子さまは多いと思います。非常時にも日常的に飲んでいる牛乳があると良いですが、牛乳は防災グッズとしての保存方法が難しいですよね。そこでスキムミルク(脱脂粉乳)を備えておくと、水で溶くだけで牛乳代わりになり貴重なカルシウム源になってくれます。こちらも普段から飲み慣れておくことをおすすめします。
ドライフルーツ
お米や乾パンなど主食だけでは不足しがちなビタミンやミネラルを補給するにはドライフルーツが役に立ちます。生のフルーツとは比較にならないほど日持ちしますし、栄養もバッチリ。お子さまと一緒に普段のおやつにドライフルーツを食べて、お気に入りのドライフルーツを見つけて備蓄しておくと良いでしょう。
ミルクと哺乳瓶(紙コップ、スプーンなど)
災害後のストレスにより、突然母乳が止まってしまうママも多くいるそうです。お子さまが脱水症状になってしまうことを防ぐためにも、ミルクの用意は必須です。哺乳瓶の消毒が難しい場合もあるので、紙コップやスプーンなどの用意があると安心です。その他の便利なグッズとして、常温で半年程保存が可能な液体ミルクもあります。
長期保存野菜ジュース
非常用の水はどのご家庭にも備えてあると思いますが、ジュースを備えているご家庭はあまりないかもしれません。水だけでなく野菜ジュースでも5年ほどの長期保存可能なものが販売されています。水以外の甘味のある飲み物があるとお子さまもきっと喜んでくれるでしょう。長期保存可能な商品でなくても、常温保存可能なジュースをローリングストック方式で備えておくのもおすすめですよ。
これらの食べ物を、先述の3種類の防災グッズの中に入れておきましょう。食べ物は子どもたちの身体だけでなく心にも栄養を届けてくれるはずです。
3.【避難生活】子連れ家庭に備えておきたい防災グッズ
「子どもが泣く」「オムツ替えや授乳が困難」「遊ぶ場所がない」といった声が多く聞かれる避難生活。親も子も慣れない避難生活を送ることになった場合に備えたグッズを準備しましょう。
子連れ家庭に備えておきたい避難生活用防災グッズリスト
子どもたち用の丈夫な靴
避難生活でなかなか手に入らないグッズのベスト10の中に「自分に合ったサイズの靴」がランクインしているとのこと。お子さまのサイズに合う丈夫な靴は必ず用意しておきましょう。東日本大震災が起きた後、とあるご家庭では半年経った時期でもガラスや食器の破片が家の中から出てきたそうです。刺さってしまうとケガに繋がりますし、災害が起きた時にお子さまの安全を確保するためには靴が必ず必要です。
アレルギーたすき
前回の記事でアレルギー対応の非常食をお子さま用の防災グッズとして備えておきましょうと紹介したように、アレルギーに応じた特別な支援物資が必要な場合、周りの人が一目で分かるようにアレルギーたすきを用意しておくと良いです。避難所では混乱が続きますし、必ずしもアレルギーのことをよく分かっている家族がすぐにそばにいられる状況ではないかもしれません。無地のたすきは100円均一にもありますし(縁に色がついているものが多いです)、インターネットでも白のたすきが100円程度で販売されています。そのたすきに例えば「たまごアレルギー」といったようにお子さまのアレルギー品目を書いておきましょう。
常備薬
普段から飲んでいる薬やけいれん予防の座薬などお子さまによって必要となる薬は変わるため、アレルギー対応の食品と同じく非常時に手に入れることが難しいもの。処方期限・使用方法・注意点をメモした紙を添えて防災グッズに入れましょう。薬によって期限や保管方法が異なるので、ローリングストックを実践しながら適切に備蓄しておく必要があります。
プライバシーテント
プライバシーテントとは高さ2m程の縦長のテントで、非常時に着替えたり簡易トイレとして使用したりと避難所内でも簡単にプライバシーエリアが確保できるテントです。授乳をしたりオムツを替える時に周りの目を気にする必要がなくなりますし、横向きにおくと数人が座れる空間にもなります。折り畳めば通常のレジャー用テントほどのコンパクトサイズになり、設置も簡単。非常時以外にも海やキャンプ、公園などのアウトドアでも活躍してくれるので、子連れ家庭には1つ備えておくのがおすすめです。
刺抜きや絆創膏
思わぬケガをしやすい災害時、お子さまが痛い思いをしてしまうと親としても辛いですよね。そんな時にいつでも対応できるよう、刺抜きや絆創膏はいつも持ち歩いていると安心です。キャラクターが描かれた絆創膏を持っておくと、いざという時にお子さまに勇気を与えてくれるかもしれません。
ペットボトルシャワー
ペットボトルのキャップに数ヶ所穴を開けたもの。中に水を入れてしっかりキャップをするだけで、汗をかきやすい子どもたちが簡単にさっぱりできるシャワーになりますよ。大人の体でも400mlほどの水があれば汗を流すことができます。冷たい水の状態では寒い時は、日向に置いて温めておくと◎。
ペット用シート
ペット用のトイレシートは、非常時の子連れ家庭でも重宝します。多くの人が同じ空間で過ごすことになる避難所では感染症が流行ることもあり、ノロウイルスやロタウイルスに罹ってしまった時にペット用のトイレシートがあれば衛生的に処理ができます。また、簡易トイレの周りに敷いて使ったりオムツ替えの時に下に敷くのもおすすめです。
トランプ・UNO
避難生活の中でお子さまが抱える不安やストレスを少しでも軽減させてあげるためのグッズとして、トランプやUNOがおすすめです。防災セットの中にいれても嵩張りませんし、避難所でお友達がいたら一緒に遊ぶこともできます。音が鳴ってしまったり他の方の邪魔になってしまったりするもので遊ぶのは難しいですが、その点トランプやUNOはその場で静かに遊べるのでおすすめです。
折り紙
折り紙は手軽に遊べる代表的な遊び道具です。狭いスペースでも楽しめるので、普段の遊び用以外に防災グッズとしても用意しておくと役に立ちます。また、折り紙は遊びだけでなく非常時の食器としても活躍してくれます。コップの形や平たいお皿の形に折ってラップを敷けば簡易的な食器に早変わり!紙皿などの用意がない時に便利ですよ。
ノート・塗り絵・シールブック・筆記用具
トランプ類と同じく、その場で静かに遊ぶことができるノート類。自由にお絵かきをしたり塗り絵をしたり、気持ちを吐き出すために交換日記をするのもいいですね。
モバイルバッテリーや連絡先リスト
お子さまの保育園・幼稚園や学校と連絡を取ったり、家族間で連絡を取ったりと、非常時の携帯電話は必要不可欠な存在です。いつどこでも充電できるようモバイルバッテリーは常に携帯しておきましょう。一緒に連絡先リストも携帯しておくと安心です。また、避難生活ではスマホで音楽を聴いたり動画を見たりするのもお子さまの癒しになります。
家族用防災手帳やお子さま用緊急連絡先カード
家族用の防災手帳には、家族構成・血液型・家族や親戚の緊急連絡先・アレルギーの有無・かかりつけ医の連絡先・避難予定の場所など必要な情報を書き込んでおきます。まずは家族用に1冊用意し、お子さまには緊急連絡先カードを持っておいてもらうのも良いです。ただ、個人情報が書かれたものなので、入れておく場所や入れ方には十分注意してくださいね。インターネットを使って防災手帳の無料ダウンロードも可能です。
・TOLOT(https://blog.tolot.com/2018/07/free-bosai-techo.html)
・神奈川県大和市(http://www.city.yamato.lg.jp/web/bousai/bousai01211392.html)
・愛知県尾張旭市
(https://www.city.owariasahi.lg.jp/kurasi/bousai/tetyouapuri.html)
紙オムツや下着の着替え
トイレトレーニングが完了しているお子さまでも、非常時のストレスなどで失敗するようになってしまうこともあるそうです。サイズの合う紙オムツや下着の替えは3日分は用意しておきましょう。
バスタオル
タオルでくるまれるとお子さまも安心できますよね。寝具として使ったりおくるみ代わりに使ったり、大判のバスタオルであれば着替えや授乳の目かくしとしても使用できます。
母子手帳(コピー)
母子手帳には健康の記録や予防接種の記録などお子さまの成長に欠かせない情報が詰まっています。「予防接種のスケジュールが分からなくなってしまった」という声もあったので、健康診断のページや予防接種のページをコピーして防災グッズに入れておきましょう。
抱っこ紐
避難をする際にベビーカーを使うことは難しいです。避難生活においてもお子さまを長時間抱っこしていることはパパやママの体に大きな負担になるので、抱っこ紐は必須アイテムです。また、災害時には抱っこ紐を卒業した小さなお子さまも抱っこで移動する方が安心です。足元にはガラスの破片や瓦礫といった危険なものが散らばっていて危険ですし、緊急時は大人も余裕がないため、手を繋いで歩いていると目線に入りにくい小さなお子さまの存在に気付いてもらえない可能性があります。
避難先でも、夜泣きをしないようにするため・寝具が十分になく床に寝せないようにするために夜通し抱っこしていた親御さんが多かったそうです。日常生活でもう抱っこ紐がいらなくなったご家庭でも、防災グッズには抱っこ紐(またはそれに代わるもの)を用意しておきましょう。
ポーチトイレ
子どもは長時間トイレを我慢するのが難しいです。そんな時にはチャック式の簡易トイレがおすすめです。チャックを開けてトイレにセットするだけですぐに使えます。使用後はチャックのスライダーをしっかり閉めれば密封されてにおいも閉じ込められます。小さなお子さまがいるご家庭には、通常の非常用トイレの他にポーチトイレもいくつか備えておくことをおすすめします。
4.災害時に子どもたちが抱えるものとは
東日本大震災が起きたあと、子どもたちも様々な影響を受けました。
- 退行行動…授乳がやめられなくなった、夜泣きをするようになった等
- 不安が消えない…かすかな音で目が覚めてしまうようになった、ひとりでトイレに行けなくなった
- 体調不良…震災翌日にけいれんを起こした(このようなお子さまは多くいたそうです)、鼻血が出るようになった、お風呂に入れず湿疹が出るようになった、お腹を下すことが続いた
- 情緒不安定…乱暴になった、落ち着きがなくなった
このように、大きな不安やストレスを抱えることで子どもたちの体や心に大きな変化が起こってしまったそうです。そして、そんな子どもたちの傍にいる家族も自責の念を抱いたり感情のコントロールが難しくなってしまったり、不安やストレスが消えず涙もろくなったり常に緊張感が取れない状態になってしまったという声がありました。防災グッズの用意だけでなく、このような声を知り自分にできる支援に参加してみることも大切なのではないでしょうか。
5.おすすめの書籍
つながる.com 『被災ママ812人が作った子連れ防災手帖』
今回の記事を作るにあたっても参考にさせて頂きました。実際に被災されたママたちの声が集まった本。そこには予想もしていなかったいろいろな出来事が・・・。いざその時がきてみて分かったことや困ったこと、数々の実体験が描かれているので、子育て中のママには是非一度読んでもらいたいです。
坂本廣子『子どもと一緒に防災の本 +防災おやつ&献立レシピ』
いつか来るその時に備えて、かわいい我が子を守るために、今やっておくべきことが分かる本。今回の記事を作るにあたってこちらも参考にさせていただきました。備えは大切と思っていながらも、つい後回しにしがちだったり、防災グッズを揃えることばかりを意識して備えているつもりになっている方も多いでしょう。この本は、用意しておくものだけでなく親子で知っておきたい知識も詰まっています。日常生活の中で実践しておけるといいですね。
今泉 マユ子 『もしもごはん』
いつか来るその時、たとえ命が助かったとしても、それで終わりではありません。当たり前だった日常は途絶え、避難所生活となったり、在宅避難となったり、、、。日常を取り戻すまでには時間がかかるでしょう。でもそんな中でもママたちは子どもたちの健康を守るために、電気も水もガスも使えない中でなにかしら食べさせていかなくてはなりません。そんな時のため、普段から少し多めに食料を備蓄しておくことが大切。この本にはそんな備蓄品を使って作る非常時の簡単レシピが詰まっています。ポリ袋だけでできるレシピも!普段からこの本を参考にして、食料備蓄をしておきたいですね。
ママプラグ 『全災害対応! 子連れ防災BOOK 1223人の被災ママパパと作りました』
あらゆる自然災害に対応した防災本。同じように小さなお子さんを育てているママやパパたちが被災した時の声がたくさん詰まっているので、まだ被災したことがない方にとっても災害を身近に感じられる本ではないでしょうか。園や学校の避難訓練に任せておかず、家庭でも日頃から防災について家族で話し合う大切さに気付ける本です。
忙しい子育て世代のご家庭では防災グッズの用意はつい後回しになってしまうことが多いです。でもしっかり備えておくことで子どもたちの安全や心の健康を守ることに繋がるので、この記事を読んで今一度見直しをしてみてください。
最終更新日 2024年11月18日
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