電気代の値上げが止まりません。直近の電気代の請求額を見て驚いた方も多いのではないでしょうか。寒さの厳しい真冬の時期を乗り越えるためには電気の使用が不可欠ですが、値上げラッシュに加えて高額の電気代は家計に大いに響きますよね。そこで役立つのが電気代を抑えるための裏技の数々。オール電化には特におすすめの節約術や誰でも実践できる電気代を安くするコツなど、今日からすぐ使える裏技をご紹介します!
1.電気代が高騰しているワケ
私たちの生活に大きな影響を及ぼしている電気代の値上がり。2021年頃からどんどん上昇しています。このように電気代が値上がりしているのは、
- 燃料の輸入価格の上昇
- 新電力会社による値上げ
- 国内の電力供給不足
など、いくつかの原因が挙げられます。
まず、昨今の世界情勢により、火力発電に必要な燃料のほとんどを輸入している日本に大きな影響が出ています。戦争や感染症の拡大による経済状況の悪化や輸出制限、そして円安による輸入価格の高騰も相まって、電気代の値上がりに繋がっているというわけです。このように燃料が必要な火力発電とは違い、枯渇することのない太陽光や風力などの自然の力でエネルギーを作る「再生可能エネルギー発電促進賦課金」(略して再エネ賦課金)も私たち国民が負担しています。
また、新電力会社による値上げの影響もあります。新電力とは、2016年の電力の小売全面自由化に伴って新規参入した電力会社のことで、東京電力や関西電力など大手以外の電力会社を指します。自分の会社で発電している新電力会社もありますが、大半の新電力会社は卸電力取引所や発電会社などから電気を仕入れています。そのため、仕入れ価格が上昇すると、自ずと電気代も上がるという流れになります。
そして、感染症の流行に伴ったテレワークやお家時間の増加、寒波の到来など電力需要の増加によって、電力の市場価格も上昇しました。需要の高まりに燃料価格の上昇や年力不足も相まって、電気代の値上がりに繋がってしまっています。この流れは、今後もまだ続いていくという予測があらゆる国際機関から発表されています。2024年も引き続き、電気代の値上がりは私たちの課題と言えるでしょう。
2.電気代が高くなる使い方
電気代の値上がりは避けられませんが、電気の使い方によって上手に付き合う方法があります。反対に、意識せずに電気を使っていることによって電気代が高くなってしまうとも言えます。
①電源をつけたままにしている
見ていないテレビ、洗面所やお手洗いの照明、炊飯器の長時間保温、夏場の暖房便座など、何気なく電気を使ったままの状態で放置してしまっている箇所はありませんか?例を挙げると、暖房便座の電気代は、メーカーにもよりますが1日あたり10円前半かかっていて、1ヶ月に300円程度かかっているものがあります。たった300円と感じるかもしれませんが、年間3000円~4000円の出費になります。使っていない・使う必要がないものの電気を使用し続けることは、お財布に優しくありません。
②料金プランをチェックしていない
契約している電力会社のどんなプランに加入しているか確認すると、どの時間帯に電力を使用するとお得なのかが分かります。それを把握しないまま生活していると、電力の高い時間帯に集中して電気を使ってしまう可能性があります。その影響が、電気代にも表れてしまいます。
③家電を正しく使用していない
コストパフォーマンスに優れた家電を使用していても、正しく使えていなければそのパフォーマンス力は落ちてしまいます。例えば、冷蔵庫のお手入れが滞ってホコリが溜まったままになっていたり冷蔵室に物を詰め込み過ぎていたり、エアコンのフィルターにホコリが溜まっていたり、トイレの便座のフタを開けたままにしていたり…。それぞれの家電を上手に・お得に活用できる使い方があるので、それを守らずに使用しているのは勿体ないです。
3.真冬の電気代を抑える節約術7選
厳しい寒さを乗り切るために電気の使用量が上がりやすい真冬には、節約術を活用して電気代を抑えていきましょう!
①エアコンや室外機などのお手入れをする
先述した通り、使用しているもののお手入れを怠ってしまうと、暖房効率が落ちて無駄な電力がかかります。エアコンの吹き出し口は定期的にチェックしてお手入れしましょう。
②エアコンの温度を下げる
エアコンの設定温度を1度下げると、年間で1000円以上の節約になると言われています。環境省は、冬は20度を目安に設定することを推奨しています。それでは寒く感じる場合、暖かい部屋着を着用したりもこもこの靴下を履いたりブランケットを使ったり、体が寒さを感じないよう工夫しましょう。また風量も「弱」にすれば省エネにつながるように感じがちですが、部屋の温度を設定温度までもっていくまでの消費電力がかさみます。風量は「自動」が一番おすすめ!冷気は下に溜まるので、風向きは「下向き」に設定しましょう。
③部屋の湿度を上げる
湿度と体感温度は関係があり、湿度が低くて乾燥している時よりも適度な湿度がある時の方が体感温度が高くなると言われています。体感温度が高いと、暖房器具の使用を減らしたりエアコンの温度を下げたりできるので、電気代の節約に繋がります。
④複数の家電を併用する
冬の寒い部屋を暖めてくれる暖房器具は、エアコン・電気ストーブ・石油ファンヒーター・オイルヒーター・こたつ・ホットカーペットなど沢山の種類があります。部屋全体を暖めるにはエアコンが適していますが、人が過ごす場所をピンポイントで暖めたい場合は他の暖房器具を短時間使用するなど、使い分けをすることも電気代の節約になります。
また、暖房器具から出る暖かい空気を効率よく攪拌するために、サーキュレーターを併用することもオススメです。
⑤窓からの冷気をシャットアウトする
窓は、冬の室温を暖かくキープしたい時に見逃せないポイントです。暖房器具を使って部屋を暖めても、窓から暖気が逃げてしまう・冷気が入ってきてしまうとなかなか暖まりません。断熱効果のある窓ガラス(ペアガラスや二重窓)を採用する方法もありますが、窓に貼る断熱シートや隙間テープを活用して対策する方法が手軽でオススメです。また、ヒーターを使用している家庭ではヒーターを窓際に置くといいですよ。
⑥お風呂は追い炊きよりも足し湯
寒い時期のお風呂はすぐに冷めてしまうので「追い炊き機能」を利用する家庭も少なくないでしょう。でも実は「追い炊き」は電気代もガス代もかさみます。「追い炊き」「自動保温」よりも「足し湯」をした方が省エネですよ。まずは浴槽内のお湯が冷めないようフタをしたり、入浴中はお風呂場の換気扇は切るように対策しましょう。
⑦オール電化住宅では設備の使い方を見直す
オール電化住宅は給湯・暖房・照明の全てを電気で賄っています。そのため、お湯を使用量や暖房器具の使用が増える冬場の電気代が高くなりやすいです。
対策としては、
- エコキュートの沸き上げや洗濯機・食洗機などの稼働時間の調節(夜間予約など電気代がお得な時間帯に設定する)
- エコキュートの節約モードの設定
- エコキュートのピークカット設定(設定した時間帯以外の沸き上げを停止する設定。夜間時間までの沸き上げ停止)
を見直してみて下さい。
4.安いのはどれ?暖房器具別・電気代
暖房器具にもいろいろありますが、使うものによっても電気代に大きく差が出ます。
ここでは、暖房器具別におおよその電気代とメリット・デメリットをまとめてみました。
※ 電気代はあくまでも目安です。機種や環境・設定によっても異なりますので注意して下さい。
エアコン(暖房)
【1時間あたりの電気代】 約3~50円
【メリット】
・部屋全体を暖めることができる
・部屋が狭くならない
【デメリット】
・暖まるのに時間がかかる
☆設定温度に調節するまでが特に電気代がかかるので、30分程度切るくらいなら付けっぱなしにしておくのがおすすめ!
石油ファンヒーター
【1時間あたりの電気代】 約0.3~5円
【メリット】
・部屋全体が暖まる
・広範囲が暖まる
・部屋が乾燥しにくい
【デメリット】
・電気代と灯油代が二重でかかる
・灯油を入れる手間がかかる
・全体が暖まるまでに時間がかかる
・乾燥しやすい
☆エアコンよりも即暖性があるので、起床から出勤前の時間帯や帰宅直後などは特におすすめ!
ガスファンヒーター
【1時間あたりの電気代】 約0.5円
【メリット】
・部屋全体が暖まる
・暖まるのが早い
【デメリット】
・電気代とガス代が二重でかかる
・置き場所が限られる(ガスコンセントが必須)
・こまめな換気が必要
☆エアコンと併用することで部屋全体が素早く暖まる!
電気ファンヒーター(セラミックファンヒーター)
【1時間あたりの電気代】 約15~40円
【メリット】
・スイッチを入れてすぐに温風が出てくる
・コンパクトで置き場所に困らない
・安心安全に使用できる
・価格が安い
【デメリット】
・暖まるのに時間がかかる
・空気が乾燥しがち
・広い部屋には向かない
☆脱衣所では特に重宝しますよ!
パネルヒーター
【1時間あたりの電気代】 約12~32円
【メリット】
・コンパクトで置き場所に困らない
・速暖性がある
・やけどしにくい
【デメリット】
・暖められる範囲が限られる(正面のみ)
・電気代がかさみがち
☆置き場所が限られるような狭い空間には特におすすめ!弱運転で稼働してみて。
オイルヒーター
【1時間あたりの電気代】約4~24円
【メリット】
・部屋全体が長時間暖まる
・小さなお子さんがいても安心・安全
・静音性が高い
【デメリット】
・暖まるまでに時間がかかる
・電気代がかさみがち
☆最新型のモデルには電気代が安く抑えられるものが多い。
電気ストーブ
【1時間あたりの電気代】 ハロゲンヒーター:約24~37円
カーボンヒーター:約14~28円
【メリット】
・速暖性が高い
・価格が安い
・換気できないような場所でも安心
【デメリット】
・暖まる場所がピンポイントで限られる
・電源を切った瞬間に冷える
☆他の暖房器具と併用し、サブとして使用するのがおすすめ!
石油ストーブ
【1時間あたりの電気代】 0円
【メリット】
・電気代がかからない
・速暖性が高い
・災害時にも使える
【デメリット】
・灯油代がかかる
・灯油を入れる手間がかかる
・火を使うので火事や小さなお子さんのいる家庭には注意が必要
・空気が乾燥しやすい
☆やかんをのせれば加湿もできる!鍋をのせて調理もできる!
こたつ
【1時間あたりの電気代】 約2.5~9円
【メリット】
・電気代が安い
・すぐに暖まる
・年中使える(テーブルとして)
【デメリット】
・こたつに入っている部分しか暖かくない
・入れる人数に限りがある
☆他の暖房器具と併せて使用するのがおすすめ!
ホットカーペット
【メリット】
・即暖性がある
・使いたい範囲が選べる
・電気代・価格が安い
【デメリット】
・触れている部分しか暖まらない
・切り忘れることが多い
☆足が冷える方には特におすすめ!
電気毛布
【1時間あたりの電気代】 約1円
【メリット】
・すぐに暖まる
・電気代が安い
【デメリット】
・部分的にしか暖まらない
・慣れるまで電熱線の違和感を感じることもある
☆就寝時に取り入れれば電気代の節約に!テレワークにもおすすめ。
5.1年を通して役立つ電気代節約術4選
電気代の値上がりは、冬場だけでなく1年を通した課題と言えます。何気なく使っている電気を見直すことで、これから先の電気代節約に繋がっていきます。
①家電の見直し
家電製品の進化は目まぐるしく、性能もどんどん上がっています。エアコンを例に挙げると、フィルター掃除を自動で行ってくれたりセンサーを使って無駄のない送風をしてくれたり、省エネ効果の高いエアコンが登場しています。断熱性能の高い冷蔵庫や消費電力量の少ない洗濯機など、家電を買い替えるタイミングが来たら“省エネ”にも注目して商品を選んでみましょう。
②プランや電力会社の見直し
各電力会社には、生活様式に応じた様々なプランが用意されています。まずは、今どのようなプランで契約していて、どの時間帯にどんな電力を使用しているか、明細を見て把握しましょう。請求書や検針票を見たり、電力会社が提供しているHPから確認することができます。「今よりもっとお得に使えるプランはないかな?」という時は、契約中の電力会社の提供しているプランを見てみましょう。HP上でプラン変更のシミュレーションができる会社も多いので活用するのがオススメです。
また、電力会社自体を見直すことも一つの手です。先述した通り、令和5年現在700社を超える新電力会社があります。ガスやスマートフォンとセットを組むとお得になったり、ポイントが貯められるプランが用意されていたりするので、これまで以上に生活に合った電力会社が見つかるかもしれません。ただ、「安くなるから」と安易に変えることなく、メリットとデメリットの両方を調べた上でじっくり検討しましょう。
③家族で部屋を共有する
家族で住んでいる場合、各々が別の部屋で過ごしているとそれだけ電力の使用が増えます。反対に、1つの部屋で過ごしていればその部屋の分しか電力は必要ありません。勉強や仕事など1人で集中したい時以外はなるべくリビングで過ごす、夫婦・兄弟などなるべくバラバラにならないように過ごす、といった無理のないやり方で部屋を共有して電力の消費を抑えましょう。
④家電の正しい使い方を意識する
便利な機能を持った家電製品を使っていても、正しい使い方ができていないと必要のない電力を消費してしまいます。
【家電別・効率の良い使い方】
エアコン
設定温度に注意しましょう。夏場は+1度に設定すると約900円節約できます。つけっぱなしにせず、必要な時以外は切るようにしましょう。ただし30分ぐらいの外出であれば、エアコンはつけっぱなしにしておいた方がGOOD◎(一度切ってまたつけた時の温度調整で消費電力がかさむため)
冷蔵庫
冷蔵庫は詰め込み過ぎると庫内の空気の循環が悪くなり、無駄に消費電力がかさみます。さらにどこに何があるか分からなくなり、食品を探すためにドアを開けっぱなしにする時間も長くなります。食品の量は7割程度に抑え、中身をきちんと整理して見やすくしておきましょう。(ただし冷凍庫の場合は詰め込んだ方が効率的ですよ。)冷風口も塞がないように注意して下さいね。設定温度を下げることでも省エネになります。「強」から「中」に下げるだけでも年間約1500円の節約になると言われています。
IHコンロ(ヒーター)
余熱で火を通したり具材を小さく切ったりして加熱時間を短くしましょう。炊飯時に卵や野菜を入れたり、同じ鍋で茹でるなどの同時調理もおすすめです。
洗濯機
少量を何度も回さずに、できるだけまとめて洗濯しましょう。電気代の安い夜間にタイマー設定しておくと効率的です。また乾燥機能は消費する電力が高いので、陽の当たる窓辺に干したり(乾燥対策にも◎)、エアコンの当たる場所に干すなどしてなるべく使わないようにしましょう。
食洗機
乾燥機能に電力を消費するため、洗浄後に扉を開けて自然乾燥させたり布巾で拭いたりすると、節電に繋がります。また電気代の安い夜間をねらってタイマー設定しておくのもおすすめです。
テレビ
放電効率を上げるため、ホコリを溜めないようにしましょう。また明るさの設定を調整することでも節電効果が期待できます。就寝時にはオフタイマーを活用してつけっぱなしを防ぎましょう。
炊飯器
炊飯は1日1回というご家庭でも保温機能は使わないようにしましょう。炊飯器で保温しておくよりも2回に分けて炊いた方が消費電力が抑えられるとも言われています(保温時間7時間の場合)。お米を炊いたら残ったものは取り出して、食べる時にレンジでチンしましょう。保温ポットに関しても、常に保温状態にしておくよりも必要な時に必要なだけ沸かした方が消費電力が少なく済みます。使用しない時はコンセントを抜いておきましょう。
トイレ
暖房便座を使用している場合は、必ずトイレのフタを都度閉めましょう。開けっ放しにしていると熱を逃がしてしまうため、便座の温度も下がってしまい、消費電力が高くなります。温度も低めに設定することで省エネに繋がりますよ。(夏場は電源オフ)またシャワーの温度を下げることでも年間約1000円の節約になると言われています。
このように、それぞれの家電の使い方を今一度見直して、無駄がないかチェックすることが大切です。
たとえ1日数円の節約でも、積み重なると大きな金額になります。省エネに意識を向けて、快適な環境をキープしながらお財布にも優しい生活を目指しましょう!
最終更新日 2024年9月28日
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