ステーキや焼き肉、すき焼きなど、普段の食卓から特別な日のご馳走料理まで幅広く使用されている牛肉。豚肉や鶏肉と比べると価格が高めなことや、脂分が多く「太りやすい」というイメージがあり、頻繁には買わないという方も多いのではないでしょうか?実は牛肉は身体作りや筋トレ、ダイエットに最適な栄養素が豊富で、さらにストレス軽減・疲労回復にも効果的な食材です。今回は牛肉の栄養と豆知識についてまとめてみました!
1.栄養と効能
栄養
・脂質
・カルニチン
・ビタミンB群(B1、B2、B6、B12)
・鉄分
・亜鉛
・マグネシウム
・カリウム
・葉酸
・ビオチン
・ビタミンK
・ナイアシン
・セロトニン
・トリプトファン
・ロイシン
・バリン
・イソロイシン
・オレイン酸
・アラキドン酸
・ステアリン酸 など
効能
・免疫力を高める
.貧血、めまいの予防
・疲労回復
・記憶力や集中力アップ
・体温の維持
・悪玉コレステロールを減らす
・抗酸化作用
・新陳代謝を助ける
・冷え性の予防
・がんの予防
・不安やストレスを和らげて精神を安定させる
・身体を動かすのに必要なエネルギー源を生み出す
・認知症の予防
・味覚異常の予防
・高血圧の予防
・風邪を引きにくくする
・むくみ防止
・脂肪の燃焼を促進する
・赤血球を作る
・美肌効果
・老化防止
・皮膚や粘膜の細胞を再生する
・口内炎、皮膚炎、脱毛の予防
・神経の働きを正常に保つ
・出血した時に血を止めやすくする
・骨を形成する
・子どもの成長を促す
・体内のアルコールを分解する
・傷ついた神経細胞を修復する
・体内の余分な塩分を排出する など
2.種類
牛は大きく分けると肉用牛と乳用牛の2種類が飼育されています。牛肉として出荷される肉用牛は「国産牛」「和牛」「輸入牛」の3つに分類され、さらにそこからそれぞれの種類に分けられます。国産牛と和牛は同じだと思っている方も多いと思いますが、実は別物。しっかりとした基準が定められているんですね。乳牛用には「ホルスタイン種」や「アンガス種」「ジャージー種」などがあります。乳牛用でも乳の出が悪くなってくると食用になることもあり、肉用牛と比べると肉質はあまり良くないので挽き肉にされることが多いです。また、牛は身体が大きいので部位も多く分かれています。それぞれの部位ごとに特徴が違うため、適している料理や調理方法も異なります。作りたい料理に合わせて牛肉を選ぶと、さらに美味しく楽しめるのではないでしょうか。
国産牛
和牛
輸入牛
牛肉の部位
肩ロース
肩(うで)
ネック
リブロース
サーロイン
ヒレ(フィレ)
バラ
もも
そともも
後ろ脚の外側についている部分の肉。脂肪が少ないのでキメが荒く、しっかりとした硬めの肉質が特徴。薄切りにしてシチューやカレー、ポトフなどの煮込み料理や、薄切りまたは細切りにして炒め物にするのもおすすめ。
ランプ
すね
レバー
胃
3.食べ頃と見分け方
選ぶポイント
- お肉が淡い色(白に近いピンクや赤)で表面にツヤのあるもの
- 色の濃淡にばらつきがないもの
- 脂身が白に近い乳白色で、適度に粘りのあるもの
- サシ(お肉の赤身の中にある脂肪)がキメ細かく入っているもの
- 脂身と赤身の境目がハッキリしているもの
- 切り口がしっかりとしていて全体的にキメが細かいもの
避けた方が良いもの
- 赤い血のような水分(ドリップ)が出ているもの(旨み成分や栄養素が流出しています)
- 脂身が黄色っぽいもの(鮮度が落ちています)
購入してきたお肉をトレーから取り出してみたら、お肉同士が重なっていた部分が黒っぽくなっていて品質が心配になった経験はありませんか?お肉は本来黒っぽい色をしていて、空気に触れると酸化して色素が発色し、赤くなります。そのため、お肉同士が重なっていた部分が黒っぽくても、空気に触れていないだけなので全く問題ありません。
4.保存方法
スーパーなどのお店で販売されているお肉には加工年月日(大きなかたまりのお肉を薄切りや厚切りなどにカットしてパック詰めした日)と消費期限が表示されていますが、あくまで目安ですので、購入後はなるべく早めに食べ切るのがおすすめです。遅くとも消費期限までには使い切りましょう。牛肉は他の肉類と比べて保存期間が長く、カット方法や部位ごとで日数が異なります。空気に触れている面が多いほど酸化するスピードが早くなるので、冷蔵で保存した場合には挽き肉は加工当日から2日程度、薄切りは2〜3日程度、切り身は4日程度、ブロックは5日程度保存が可能です。
牛肉を保存するときは、酸化や乾燥を防ぐためにできるだけ空気に触れないようにするのがポイント。酸化が進むと風味が落ちて、カビや雑菌が繁殖しやすい状態になってしまいます。購入時に入っていたトレーから取り出してラップでピッタリと包んでから、ジップ付き保存袋や密閉容器に入れて空気をしっかりと抜き、冷蔵庫のチルド室に入れましょう。ラップで包む前にキッチンペーパーでお肉の表面の余分な水分を拭き取るとさらに効果的です。雑菌の繁殖を防ぐため、お肉は素手で触らずに必ず菜箸やトングを使って小分けしてくださいね。
購入後にすぐに使わない場合や、まとめ買いをした場合は冷凍保存がおすすめ。1回分の量に小分けし、冷蔵するときと同じようにラップで包んでからさらにアルミホイルを重ねて包み、冷凍用のジップ付き保存袋に入れましょう。なるべく平らになるようにして包むと解凍するときに時間の短縮になりますよ。冷凍で保存した場合には挽き肉や薄切りは2〜3週間程度、厚切りやサイコロカットは3週間程度、ブロックは1ヶ月程度保存が可能です。また、牛肉はひと手間加えてから冷凍すると、使うときにとても便利。調理の時短にも繋がりますよ。いくつかやり方がありますので、下記を参考にしてみてくださいね!
- 下味をつけてから冷凍
牛肉を使いやすい大きさにカットしてから冷凍用のジップ付き保存袋に入れて、塩コショウや酒、醤油などお好みの調味料を揉み込みます。空気をしっかりと抜いてから冷凍庫に入れましょう。冷凍する前に下味をつけておくことで味が良く染み込み、お肉のパサつきも抑えることができますよ。袋の空気をしっかりと抜き、平らになるように広げると味が均等に染み込みます。 - 調理してから冷凍
お休みの日など時間に余裕があるときに調理を済ませてから冷凍しておくと、忙しくてご飯を作る時間が取れない日やお弁当のおかず用にも重宝します。調理してから冷凍する場合は粗熱が取れるまで置き、料理の水分をしっかりと飛ばすのがポイントです。
牛肉の上手な解凍の仕方
なるべくじっくりと解凍するのがおすすめですが、時間がなくて急速に解凍したい場合は氷水や電子レンジを使って解凍する方法もあります。冷凍庫から取り出したお肉をジップ付き保存袋やビニール袋などに入れてしっかりと密閉し、すぐに氷水につけて袋が浮いてこないように重しを乗せます。そのまま約30分〜1時間ほどおけば解凍完了です。
電子レンジで解凍する場合は、電子レンジの「解凍機能」または「半解凍機能」を使用しましょう。途中で向きを変えたり裏返したりすると加熱ムラを防げますよ。さらに、氷水や電子レンジすら使う時間が取れないという場合は、フライパンを使って解凍する裏技があります。「味が多少落ちても構わないから早く料理を済ませたい!」という方には便利かもしれません。
やり方は簡単で、フライパンに冷凍庫から取り出したお肉と70mlの水を入れたら蓋をして強火で3分加熱します。3分経ったら火を止めて、そのまま1分置いて蒸したらOK。ほとんど解凍できているので、そのまま料理に取り掛かることができるため時間の無いときには便利です。一度解凍したお肉は水分と一緒に旨味や栄養素が流れ出てしまっています。再冷凍したり、長い期間冷蔵庫に入れておくことは避けてくださいね。味や鮮度がさらに落ち、衛生面でも心配があるので早めに食べ切りましょう。
5.下ごしらえの方法と切り方
他の肉類と比べると部位が多い牛肉。それぞれに適した切り方をすると食べたときの食感や柔らかさが変わってきます。肩などの筋張っている部位は繊維に対して直角に包丁を入れていくと食べやすくなりますし、元々柔らかい部位は繊維に沿って切るとキレイに仕上がるのでおすすめ。さらに、下ごしらえで一手間加えると美味さがアップするので、ぜひ試してみてくださいね。
牛肉の美味しさがアップする下ごしらえのポイント
- 肉汁(ドリップ)をしっかりと取り除く
牛肉だけでなく他のお肉にも共通して言えることですが、カットしたお肉は時間が経つと赤い血のような水分がどんどん出てきます。そのままにしておくと味が劣化したり生臭くなったりするため、キッチンペーパーを使ってしっかりと取り除きましょう。水分を取ることで下味が染み込みやすくなるので一石二鳥です♪ - 調理前にお肉を柔らかくしておく
厚みがあったり筋張っていて硬い部位の場合は、調理する前に肉たたきやめん棒で叩いておくと食感が柔らかくなります。また、パイナップルやキウイなどのフルーツ、玉ねぎをすりおろしたものやワイン、お酢などに漬け込んでおくのもお肉を柔らかくするには効果的です。 - 筋切りをする
ステーキやビーフソテーなど厚めにカットした牛肉の場合は、赤身と脂肪の境目あたりの白っぽい半透明の部分の筋を包丁の刃先を使って切り込みを入れます。お肉の大きさに応じて3〜6ヶ所ほど入れておくと、加熱したときの焼き縮みや反り返りも防げてお肉を美味しく楽しめますよ。 - 事前に下味をつけてから加熱する
肉類は油などで炒めることで表面がコーティングされるので、中まで味が染み込みにくくなります。事前に下味をつけてから加熱すると肉のクセも和らぎ、美味しさがアップ!さらに表面に片栗粉を薄くまぶすことでお肉の水分が逃げず、柔らかい食感に仕上がります。
6.加熱時間
牛肉は他の肉類とは異なり、細菌や寄生虫が存在しにくいと言われています。肉をカットした表面には細菌が付着していますが、塊の内側にはいません。保存期間が長くなるにつれて肉の熟成が進んでくると菌が表面から中に入っていくので、加熱した際に中心温度が55℃以上になるように心掛けましょう。見た目だけで判断するのは難しいため、中心温度を計ると安心です。しっかりと管理された新鮮な牛肉は生のままで食べられるものもありますが、スーパーなどで販売されている牛肉を家庭で調理する際は取り扱いに気をつけないと、食中毒の危険性がありますので注意が必要です。
また、牛肉を長時間煮込んだときにアクが出た場合はこまめに取り除きましょう。アクをそのままにしておくと他の食材にもアクが付着してしまい、料理の味やツヤが悪くなってしまいます。お玉などを使ってその都度丁寧に取り除いてくださいね。
ローストビーフなどの低温調理の加熱時間の目安
- 中心温度が63℃になってから30分以上
- 中心温度が70℃になってから3分間
- 中心温度が75℃になってから1分間
ステーキの焼き加減と加熱時間
レア(rare)
ミディアムレア(medium rare)
ミディアム(medium)
ウェルダン(well–done)
7.牛肉と相性の良い食材
ほうれん草、ブロッコリー、かぼちゃ、じゃがいも、レモンなどのビタミンCを多く含んでいるもの
牛肉には「ヘム鉄」という鉄分が含まれています。ヘム鉄は体内への吸収率が高い成分ですが、ほうれん草やブロッコリーなどのビタミンCを多く含んでいる食材と一緒に食べることでさらに効率的に吸収されやすくなります。さらに、消化機能の働きをサポートしたり、胃の粘膜の維持にも効果的。食材の中で特におすすめなのは加熱してもビタミンCが失われにくいじゃがいもです。炒めたり肉じゃがにしても良いですね♡必ずしも牛肉と同時に食べなくても、牛肉料理を食べた後のデザートとしてみかんやイチゴなどを食べる方法でもOK。献立として組み合わせてみてください♩
にんにく
肉類と合わせやすく、相性の良いにんにくには「アリイン」という成分が含まれており、刻んだり潰すことで「アリシン」という成分に変わります。このアリシンには疲労回復効果のあるビタミンB1の吸収を高める働きがあるため、牛肉とにんにくを合わせて摂ると相乗効果でビタミンB1を効率的に吸収できます。スライスしたりすりおろして一緒に食べると、にんにくの風味が食欲も増進してくれますよ。
トマト
トマトには抗酸化作用のある「リコピン」という成分が豊富に含まれています。リコピンは油と一緒に摂ると吸収率が上がるため、お肉との相性抜群。トマトと牛肉を油を使って一緒に調理すれば、トマトのリコピンと牛肉のタンパク質やビタミンB群の相乗効果で美肌効果やアンチエイジング効果が期待できます♡トマトには牛肉には含まれていない栄養素が多く、牛肉にはトマトに含まれていない栄養素が豊富なため、それぞれが不足している栄養素をバランス良く補うことができるのもおすすめの理由です!
他にも牛肉と合わせると効果的な食材はたくさんありますので、いろいろな組み合わせで体調を整えましょう★
- 〈疲労回復や体力増強に効果的〉
牡蠣、しじみ、ごぼう、にんじん、クレソン、山芋、ニラ - 〈胃腸強化に効果的〉
玉ねぎ、白菜、ふき、わさび、大根、しょうが、酢 - 〈傷の回復力を促進するのに効果的〉
大麦、ごま、なす、オリーブオイル - 〈利尿作用や腎臓病の改善に効果的〉
きゅうり、セロリ、ウリ、チコリ
8.牛肉の豆知識
牛肉はストレス軽減やうつ対策に効果抜群!!その理由とは?
トリプトファンとセロトニンの効果で精神が安定し、リラックスした気持ちになったり、落ち込んだ気持ちを明るい気持ちへ導いてくれますよ。また、牛肉に豊富に含まれているたんぱく質は健康で活発な身体を作るのに欠かせない栄養素です。たんぱく質をしっかり摂取することで身体が疲れにくく、だるさを感じにくくなり、心身ともに元気に過ごせることにつながります。『ストレスは万病の元』と昔から言われているほどで、さまざまな病気を引き起こす原因にもなり、身体にとっては悪影響でしかありません。ストレスを抱えることの多い現代社会の環境だからこそ、食べ物で少しでもコントロールしていけたら良いですね。
牛肉の格付け基準について
歩留等級
肉質等級
ステーキの焼き加減の意外な由来
実はステーキの焼き加減で使われている「レア(rare)」と「ウェルダン(well−done)」という言葉は、卵もお肉と同じように加熱時間が長くなればなるほど硬くなることから英語の古語で卵の茹で加減を表現した言葉に由来しているそうです。「レア(rare)」は半熟卵、「ウェルダン(well–done)」は硬ゆで卵を指しており、「well(正しく)done(調理された)」という言葉から引用されたと言われています。
牛肉には健康に良い栄養素がたくさん含まれています。食べ応えもあり、心も身体も満たされやすいので、積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。
最終更新日 2024年7月30日
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