根菜の代表とも言えるごぼう。日本では古くから馴染みのある野菜ですが、まるで木の根っこのような見た目から敬遠され、食用で普及しているのは世界の中でも日本だけなんだそう。ごぼうは地中に深く根を張って力強く成長することから『延命長寿』の象徴とされていて、おせち料理にも使われています。皮にも栄養が詰まっているので、できれば皮ごと食べられるのがおすすめですよ。今回はごぼうの栄養と豆知識をご紹介します!
1.旬の時期
独特の香りや歯応え、主張しすぎない素朴な味わいが和食によく合い、炒め煮やきんぴらなどにすると美味しいごぼうは秋から冬(11〜2月頃)にかけて旬の時期を迎えます。主に流通しているごぼうは秋に収穫し、土の中で貯蔵してから出荷するため、甘みをグッと蓄えてとても美味しくなりますよ。また、春頃にある程度まで成長したごぼうを若採りで収穫し、貯蔵せずに出荷する「新ごぼう」は4〜5月頃が旬の時期です。別名「夏ごぼう」とも呼ばれ、一般的なごぼうと比べるとアクが少なく柔らかくて香りが良い味わいが楽しめます。柔らかいので茹で時間も短くて済み、サラダなどにもおすすめです。
2.栄養と効能
【栄養】
・カリウム
・カルシウム
・炭水化物(イヌリン・リグニンなど)
・マグネシウム
・ポリフェノール(タンニン・クロロゲン酸・アルクチゲニン・サポニンなど)
・葉酸 など
【効能】
・コレステロール値をコントロールする
・便秘の改善
・利尿作用
・むくみの改善
・腎臓の機能を高める
・血圧を下げる
・骨の生成を助ける
・大腸ガンの予防
・動脈硬化の予防
・ビフィズス菌の成長を促す
・血糖値を改善する
・抗酸化作用
・脂肪の蓄積を予防する
・肝臓の代謝を助ける
・老化を予防する
・生活習慣病の予防
・風邪の予防
・悪玉コレステロールを下げる など
3.種類
一見どれも同じように見えるごぼうですが、その地方の土壌に合った品種など地域限定で栽培されているものなども含めると、日本では約20種類ほどが栽培されています。細くて長い種類や太くて短い種類など、実は色々違いがあるんですよ!ごぼうの生産出荷量は青森県がダントツで1位で、次いで茨城県、北海道などが主な産地です。
【滝野川ごぼう】
【若ごぼう】
【堀川ごぼう】
【石橋ごぼう】
【常盤ごぼう】
【はたごんぼ】
【大浦太ごぼう】
4.食べ頃と見分け方
ごぼうは乾燥に弱いため、どんどん硬くなってしまいます。ごぼうを選ぶときは出来るだけ泥付きのものを選ぶのがおすすめ。周りについている泥が水分を調節して乾燥から守ってくれるだけでなく、風味も落ちにくいですよ。すぐに調理できて便利な洗いごぼうもよく販売されていますが、洗いごぼうの場合は表面のキメが細かくてシワのないものを選びましょう。あまり白すぎるものは風味が落ちている可能性があります。
選ぶポイント
- まっすぐでなるべく太さが均一のもの(太さの目安は直径2cmくらいまで)
- 弾力があるもの
- 切り口に“す”(空洞)の入っていないもの
- 表面にヒビや傷などがないもの
- ひげ根の少ないもの
- 先端が緩やかに細くなっていて、しおれていないもの
太すぎるごぼうは育ちすぎで中に空洞ができ、肉質が粗くなっている可能性があります。
5.保存方法
ごぼうは可能であれば土の中に埋めて保存したり、泥付きのままで保存するのがベストです。適度な長さにカットしてから軽く湿らせた新聞紙に包み、冷暗所で保存しましょう。使う分だけ泥を落とすと長持ちしやすいですよ。洗いごぼうや新ごぼうはラップに包んで冷蔵庫の野菜室に入れ、鮮度が落ちないうちになるべく早めに使い切ってくださいね。ごぼうを冷凍保存したい場合は、ささがきにしてからジップ付き保存袋などに入れて冷凍すると使いやすくて便利です♩
6.加熱時間
ごぼうは土から下に生えて育つ根菜類なので、茹でるときは水からゆっくりと火を通すと繊維が水分を吸収して柔らかくなります。沸騰したお湯の中に入れてしまうと中までしっかりと火が通らず、外側は柔らかいのに内側に芯が残ったような状態になってしまうので注意が必要です。ひたひたになるくらいの量の水を入れて火にかけ、沸騰したら弱火で5〜10分程度茹でましょう。サラダなどに使う歯応えのあるごぼうに仕上げたい場合は、沸騰してから1分ほどでOK。柔らかく仕上げたい場合は、茹でる前にすりこぎなどで軽く叩いて繊維を壊してあげるか、味を付ける前に下茹でしておくのがおすすめ。
味を付けてから煮込むときに柔らかくしようと思うと長時間火にかけなくてはいけないので、煮崩れの原因にもなってしまいます。先に下茹でして繊維を膨らませておくと柔らかくなり、味も染み込みやすくなりますよ。また、茹でるときにお酢を加えたり、水の代わりに米の研ぎ汁を使うとごぼうを柔らかく茹でることが出来ます。米の研ぎ汁にはアク抜きの効果も期待出来るため、ごぼう独特の臭みも取ってくれますよ。簡単なので試してみてくださいね!
7.切り方
【ささがき】
鉛筆を削るような要領で先端から薄く細長く削る感じで切ります。太めのごぼうの場合は先に表面から中心に何本か切り込みを入れておくと切りやすくなりますよ。包丁で切るのが難しい場合はごぼうを平らな場所に置き、ピーラーを使って剥くようにして切ると均一の厚さで揃えることができますよ。きんぴらごぼうやごぼうサラダなどにおすすめ。
【千切り】
ごぼうを適当な長さに切ってから繊維に沿って薄く切ります。それを重ねて端からさらに細長く切っていきます。きんぴらごぼうやかき揚げ、炒め物などにおすすめ。
【乱切り】
【斜め切り】
料理や好みに合った長さや厚さで、切り口がなるべく大きくなるように斜めに切ります。繊維を断ち切っているので柔らかく仕上がるため、味もしっかりと染み込みますよ。炒め煮や汁物などにおすすめ。
【四つ割り】
ごぼうを適当な長さに切ってから、縦長に4等分に切ります。ごぼうの風味をしっかりと楽しめる切り方なので、ごぼう巻きや煮物、炊き合わせなどにおすすめ。
【たたきごぼう】
ごぼうを適当な長さに切って茹でてから、すりこぎやめん棒などを使って叩いて割ります。繊維が壊れて味の染みが良くなりますよ。叩く時はポリ袋などに入れると飛び散らず、まな板なども汚れないので便利です。醤油や酢味噌、お好みのドレッシングなどをかけて食べるのにおすすめ。叩いた後に煮物にしても味がよく染みて美味しいですよ。
8.ごぼうと相性の良い食材
①にんじんやカボチャなどの緑黄色野菜
ごぼうにたっぷりと含まれている食物繊維と、緑黄色野菜に含まれているβ−カロチンが組み合わさると、整腸作用と抗酸化作用の相乗効果で大腸ガンの予防に効果的です。にんじんはごぼうと同じ根菜類ですし、きんぴらごぼうには欠かせない存在ですよね。緑黄色野菜はごぼうと組み合わせやすいものが多いので色々な料理で食べることが出来ますよ♩
②肉や魚などのタンパク質の多いもの
タンパク質にはしなやかな血管を作る作用がありますが、ごぼうと一緒に食べると動脈硬化の予防効果がアップします。肉や魚はごぼうの臭みを消してくれる効果もありますし、メインのメニューになることが多いので副菜としてごぼうを合わせてみるのもおすすめです。
③油
ごぼうに豊富に含まれている食物繊維は腸内環境を整えて便秘の改善などの効果がありますが、そこに油分がプラスされることで便の滑りが良くなり、スルリと出しやすくなる作用が期待できます。便秘がちで便が出にくい方は、積極的にごぼうと油を合わせて摂ってみると良いかもしれません♩
9.ごぼうの豆知識
①ごぼうの皮は栄養の宝庫!おすすめの下処理方法
また、ごぼうはアク抜きが必要とよく耳にしますが、切り口からアクの成分であるポリフェノールと一緒に栄養素や旨味まで流れ出てしまいます。茹でるときにお酢を少し加えると白く仕上がり変色を防ぐことが出来るので、切ったごぼうは水にさらなくてもOK。もし漬けても5〜10秒程度で大丈夫です!
②上と下では味が違う!?ごぼうの使い分け方
③保存に便利な乾燥ごぼうとごぼう茶の作り方
また、乾燥ごぼうをフライパンなどで水分が完全になくなるまで焦がさないように煎り、パリパリになったらごぼう茶が完成します!ごぼう茶は免疫力アップや身体を温める効果、解熱・発汗効果、脳卒中や心臓病の予防効果、腸内環境の改善などさまざまな効果や作用が期待できる身体にとても良いお茶なので、普段のお茶を時々ごぼう茶にしてみるだけでもたくさんのメリットがありますよ♩
ごぼうは見た目は決して華やかではないですが、古くから親しまれていて和食には欠かせない存在です。栄養満点でダイエットなどにも効果的なので、健康維持のためにも積極的に取り入れたい食材ですね!
最終更新日 2024年10月29日
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