独特の風味が食欲をそそり、スタミナ食材のイメージが強いにんにく。1000年以上前にはすでに滋養強壮を目的とした薬用、悪魔や病魔を祓う魔除けとしても使われていた歴史があり、昔から貴重な栄養源として重宝されていました。そんな健康効果の高いスーパーフードのにんにくですが、実は毎日大量に食べるのは危険と言われているのをご存知でしょうか?今回はにんにくの栄養効果と豆知識、おすすめの食べ方などもご紹介します!
1.旬の時期
にんにくは一年中スーパーなどで見かけますが、国産と中国産をメインに流通しています。品種や産地によって旬の時期に多少違いがありますが、国産のにんにくは生産量の70%以上を青森県が占めており、青森県産の品種は5〜7月頃に収穫され、乾燥期間を経て7〜9月頃に出回ります。店頭に並んでいるものは貯蔵性を高めるために収穫後に水分を抜き乾燥させてから出荷しているため、生の状態のにんにくにはなかなか出会えません。希少なので、収穫の時期にスーパーに行ったら気にしてチェックしてみると良いかもしれませんね!生のにんにくは乾燥させたものと比べると水分が多いので、みずみずしく柔らかいのが特徴です。風味や健康効果は、生の状態でも乾燥させたものでも変わりません◎
一方、中国産のにんにくは安定して輸入されているため、特に旬の時期というものはありません。国産のものと比べると中身が小さく、水分が抜けてしまっているものも多いので、風味や産地の土壌などにこだわりたい方は国産のものを選ぶのがおすすめです。にんにくの葉の部分である葉にんにくや茎の部分は、秋から春にかけての寒い時期が旬になりますが、これらも輸入量が増えているため一年を通して流通しています。
2.栄養と効能
栄養
・ビタミンC
・ビタミンE
・たんぱく質
・食物繊維
・アリシン
・アリイン
・アリナーゼ
・マンガン
・ジアリルジスルフィド
・アホエン
・アリチアミン
・ゲルマニウム
・スコルジニン
・メチルアリルトリスルフィド
・セレニウム
・鉄
・亜鉛
・銅
・マグネシウム
・カリウム
・リン など
効能
・疲労回復
・抗酸化作用
・がんの予防
・心血管疾患の予防
・生活習慣病の予防
・血液をサラサラにして血行を良くする
・冷え性の改善
・食中毒の予防(殺菌作用、抗菌作用)
・美肌作用
・アンチエイジング
・風邪の予防
・新陳代謝を促進する
・胃液の分泌を促して消化を助ける
・高血圧の改善
・身体を温める
・食欲増進
・滋養強壮
・体力増強
・腰痛や神経痛の改善
・薬の効能を助ける
・気管支炎の予防
・コレステロール値を下げる
・咳を止める
・脳の活性化
・解毒作用
・ストレスや不眠の緩和
・PMS(月経前症候群)の緩和
・二日酔いの予防
・てんかん発作の予防
・精力アップ など
3.種類
にんにくは栽培されている産地によって寒冷地での栽培に適した「寒地型」と、暖地栽培に適した「暖地型」に分けられ、それぞれに見た目や味わいの特徴が異なります。品種数としては少なめで、産地の名前がついているものが多いです。
寒地型の主な種類
福地ホワイト六片
富良野にんにく
ピンクにんにく
最上赤にんにく
行者にんにく
暖地型の主な種類
上海早生(しゃんはいわせ)
壱州早生(いっしゅうわせ)
沖縄早生(おきなわわせ)
島にんにく
ジャンボにんにく
無臭にんにく
平戸にんにく
博多八片にんにく
その他の主な種類
山東にんにく
プチにんにく
イタリアにんにく
茎にんにく
葉にんにく
4.食べ頃と見分け方
見分けるポイント
- しっかりと乾燥しているもの
- 粒が大きくて丸く、硬くて締まっているもの
- 重みがあるもの
- 頂点部分に緩みがないもの
- 1片ずつが均等にバランス良く膨らんでいるもの
- 葉がみずみずしくて柔らかいもの(葉にんにく)
- 濃い緑色でツヤのあるもの(茎にんにく)
避けた方が良いもの
- 芽が出ているもの
- 皮が茶色に変色しているもの
- 乾燥しすぎているもの→軽くて中身が少ない可能性があります
- 皮を剥いていない状態でにおいがするもの→傷がついている可能性があります
- 茎の先端が細くなっていたり、黒ずんでいるもの(茎にんにく)
- 白い部分が多いもの(茎にんにく)
5.保存方法
にんにくは湿気に弱いため、高温多湿を避けて風通しの良い場所で紙袋やネットなどに入れて吊るし、乾燥させながら保存しましょう。夏場は湿気が多いので、冷蔵庫のチルド室に入れておくと安心です。ただし、冷蔵庫で長期間保存すると芽が出やすくなるため、なるべく早めに使い切るのがおすすめ。長期保存したい場合は、カビ防止に新聞紙でしっかり包んでから冷蔵庫に入れましょう。にんにくは呼吸をしているのでビニール袋などで密閉するのは避けてくださいね。茎にんにくは切り口から乾燥していくので、ラップで包むかポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。なるべく立てた状態で入れると◎3〜4日以内に使い切るのがおすすめです。
また、にんにくは冷凍保存も可能です。皮がついたままの状態でラップに包んでから冷凍庫に入れれば1ヶ月ほど保存可能。糖度が高く、中までカチカチに凍ることはないので凍ったままの状態でもスライスしたりすりおろしたりすることができて便利です。また、にんにくの薄皮を剥いて醤油やオリーブオイルに漬けておくと、長期保存が出来るだけでなく調味料や薬味として使えるのでおすすめです。
6.切り方
下ごしらえ
- 皮を剥く
包丁の刃の根元でにんにくの根を切りつつ、薄皮の一部を剥がしていきます。あとは切り口の方から手で皮を剥きます。 - 芯を取る
にんにくの芯は加熱するときに焦げやすく、苦味があることも。半分に割って芯を引っ張るか竹串などを使って押し出すようにして取り除きましょう。 - 潰す(叩く)
にんにくの香りを出すのに効果的な方法です。すりこぎなどを使って、にんにくにヒビが入る程度に1〜2回叩きましょう。 - 薄切り
にんにくを押さえながら、薄くスライスします。繊維に対して垂直になるように横にするとカリッとした食感になり、パスタなどにおすすめです。また、繊維に対して平行になるように縦にするとしんなりとした食感になるので、炒め物などに向いています。 - 千切り
薄切りにしたにんにくを少しずつズラして重ね、1〜2mmほどでお好みの幅に切っていきます。 - みじん切り
千切りにしたにんにくを揃えて横向きにして置き、端から1mmくらいの幅で細かく切っていきます。
7.加熱時間
にんにくは生のままでも食べられる食材なので、加熱時間に決まりはありません。電子レンジで加熱すると甘みが増して、ホクホクとした食感が楽しめます。電子レンジを使う場合は、皮を剥いたにんにくを耐熱皿に乗せて、500Wで1〜1分半ほど加熱しましょう。触って柔らかくなっていればOKです。にんにくの香りを引き立たせたい場合は油が冷たいうちからフライパンや鍋に入れて、弱火でじっくり加熱すると油に香りが染み渡りますよ。
8.にんにくと相性の良い食材
豚肉、鶏肉、レバー、卵、玄米などのビタミンB1を多く含んでいるもの
にんにくに含まれているアリシンという成分にはビタミンB1の吸収を高める働きがあり、疲労回復やストレス解消に高い効果を発揮してくれます。
油
にんにくに含まれているアリシンという成分は、油と合わせることで分解されにくくなり効率的に吸収されます。また、にんにくの栄養素は加熱しても壊れにくく、油に覆われることで栄養素の揮発を防ぐこともできるというメリットもあります。
乳製品、豆類、魚、肉などのタンパク質を多く含んでいるもの
にんにくに含まれているアリシンという成分は、タンパク質と結合する性質があります。タンパク質を多く含んでいる食材と一緒に摂ることで胃腸への刺激や負担の軽減が期待できます。
9.にんにくの豆知識
①スタミナ食材のにんにくは、食べすぎると危険!?
にんにくに含まれているアリシンという成分は刺激や抗菌作用がとても強く、食べ過ぎると消化器官に負担が掛かります。胃の粘膜や胃壁を傷つけたりすることで胃痛を引き起こしたり、腸からの栄養吸収を妨げることによるビタミン不足、口内炎や皮膚の炎症、腸内環境を刺激して悪玉菌だけでなく善玉菌も殺し下痢や便秘を引き起こすなどの胃腸の環境悪化の原因になります。他にも、アリインという成分は大量に摂取すると血中のヘモグロビンが減少して赤血球を破壊します。すると、血圧の低下や貧血、めまい、嘔吐などの症状を引き起こすことも。にんにくは生の方が加熱したものよりも刺激が強いため、なるべく加熱して食べるのがおすすめです。
にんにくを食べるおすすめの量としては、1日で生なら1片、加熱したものなら4片(20g)くらいが適量と言われています。にんにくのホイル焼きや醤油漬けなど丸ごと調理されているものはにおいも気になりにくく、美味しいのでついつい箸が進んでしまいますが、丸ごと食べるよりは料理の一部として食べると良いでしょう。お子さんやにんにくに慣れていない方、体調があまり優れないときは少なめがおすすめ。身体に良いからと無理をせず、自分の適量を探りながら食べると良いですよ。胃が空っぽの状態でいきなりにんにくを食べると刺激や負荷が更に大きくなるので、空腹時に食べるのは避けましょう。にんにくの効果は2〜3日ほど持続すると言われています。できれば毎日ではなく、数日に1回食べるように心掛けると良いですね。
もしもにんにくを食べすぎてしまったら?
- 水分をたくさん摂る
にんにくに含まれているアリシンという成分は水溶性のため、たくさん水分を摂ると排出されやすくなります。冷たい水よりも、刺激の少ない白湯がおすすめです。 - 発酵食品を食べる
ヨーグルト、納豆、味噌、キムチなどの発酵食品を食べることで腸内の善玉菌を増やし、腸内細菌のバランスを整えて胃腸への刺激を減少させることができます。
②にんにくのにおいを緩和する方法
スタミナ食材のにんにくは独特なにおいが食欲をそそりますが、食後にいつまでもにおいが残るのが気になるという方も多いでしょう。においの元はアリインというたんぱく質の成分が空気に触れることで変化したアリシンという成分です。にんにくのにおいを緩和するポイントとしては、にんにくを食べた後に胃の中を空っぽにしたり口や喉を乾いた状態にしないこと。
また、にんにくを調理する際にまな板ににおいがついてしまうのを防ぐには、にんにくをラップで包み、その上から包丁の背や柄を使って潰す方法があります。中身が出ないようにラップの端はしっかりと閉じておきましょう。にんにくのにおいを抑える調理方法や、にんにくを食べた後ににおいを消してくれると言われている食材などにおいを緩和するポイントがいくつかあるので、試してみてください♪
においを抑える調理方法
- 数分間ボイルや素揚げをする
- 電子レンジで加熱する
薄皮を残したままラップに包み、電子レンジで2〜3分加熱するだけ!においがほとんど消えてホクホクとしたにんにくになります。栄養価は変わらないのもメリット♡
においを消すのに効果的な食材
- 牛乳、チーズ
- りんご酸が含まれているもの(りんご、バナナ、梨など)
- コーヒー
- 青汁
- 香草野菜(パセリ、青じそ、クレソン、青ねぎなど)
- 梅干し
- 緑茶
- 黒砂糖 など
③にんにくの皮を簡単に剥く裏技!
にんにくの薄皮を剥く作業は地味に手間が掛かるうえに、手ににおいがしっかり付いてしまいますよね。そんなにんにくの皮を簡単に剥ける裏技があるので、にんにく好きの方はぜひ試してみてはいかがでしょうか♡
電子レンジを使う方法
お湯を使う方法
ボウルを使う方法
④にんにくのおすすめの使い方
みじん切りやすりおろしが効果的
調味料に漬け込む
- 〈醤油漬け〉
薄皮を剥いたにんにくと濃口醤油を広口の瓶などの容器に入れるだけでOK。そのまま食べても美味しいですし、刻んで料理に使ったりしても◎にんにくが無くなった後に残った醤油は漬けのタレにしたり、焼き肉などにもおすすめです。 - 〈酢漬け〉
薄皮を剥いたにんにくとお酢を広口の瓶などの容器に入れるだけでOK。にんにくは刻んでサラダなどのトッピングにしても美味しいです。にんにくが無くなった後に残ったお酢はドレッシングなどに使うと、にんにくの風味がバッチリ効いていて食欲をそそる味わいに♡ - 〈味噌漬け〉
タッパーなどの密閉容器に味噌を入れ、薄皮を剥いたにんにくを埋める感じで入れるだけでOK。お酒のつまみにもぴったりの味わいになります。
他にも、オリーブオイルやお酒、はちみつなどお好みでいろいろな味を試してみてください♡
お風呂に入れる「にんにく風呂」
米びつの虫除けや農薬の代用に!
⑤健康効果抜群!!『黒にんにく』ってどんなもの?
健康効果の高いことで有名な黒にんにくは、にんにくを約1ヶ月ほど高温多湿の環境で熟成発酵させて作られています。発酵の過程で糖度がグンと増し、にんにく独特のにおいや辛味が無くなってドライフルーツのような甘さが味わいになるため、にんにくが苦手な方でも食べやすい加工品種です。さらに、抗酸化作用のあるポリフェノールやアミノ酸などの含有量が一気に増加するので、免疫力向上や疲労回復、肌トラブルの改善など他にもたくさんの健康効果が期待できます。
黒にんにくはクセが少ないのでそのまま食べることができますし、料理のアクセントや調味料として使うのもおすすめ。また、黒にんにくをペースト状やパウダー状に加工した使いやすいものも販売されています。黒にんにくペーストはパンやクラッカーにつけたり、ソースやパスタの隠し味にピッタリ。黒にんにくパウダーはお好み焼きにふりかけたり、カレーの隠し味、お菓子のアレンジレシピなどに使うのがおすすめです。
「にんにくのおかげでピラミットが建った」と言われるほど健康効果が高いにんにく。生のにんにくが面倒な方はチューブ入りのものや乾燥にんにくなどを活用して、上手に摂っていきたいですね★
最終更新日 2024年8月11日
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