なすは焼く、煮る、揚げる、漬けるなど幅広い料理に使える万能野菜の一つです。水分が多く栄養がないと言われがちですが、実はたくさんの栄養素を含んでいるのをご存知でしょうか?あまり知られていないだけで色々な病気の予防や美肌効果も期待できると言われているので、ナス嫌いなお子さんも多いと思いますが積極的に摂取したい野菜の一つ。今回は、ナスの魅力と豆知識、効果的な食べ方を紹介します。
目次
1.旬の時期
なすは一年中店頭で見掛けますが、旬は6~9月の初夏から初秋にかけて。暑い時期においしい夏野菜の代表です。なすには体を冷やす効果もあり、内側の余分な熱を取ってくれるのでほてりや夏バテの予防に効果的です。
2.栄養と効能
なすの皮の紫色の部分にはポリフェノールの一種でアントシアニン系色素の『ナスニン』という成分が多く含まれています。ナスニンには活性酵素の働きを抑える効果があるので、動脈硬化や高血圧を予防したり、老化防止、眼精疲労を和らげる、視力回復を助ける効果などもあります。
ナスニンは鉄などの金属と結合すると安定するため、漬物などに古いクギを入れておくと鮮やかな紫色を留められると言われています。なすを切った時に切り口が紫色に変色する原因の『クロロゲン酸』には老化や生活習慣病、がん予防の効果が期待出来ます。
なすは95%以上が水分ですが、他にも色々な栄養素があります。『コリン』という成分は血圧を下げ、胃液の分泌を促したり肝臓の働きを良くするといった効果があり、また血管を太くするため毛細血管からの出血防止の効果もあります。利尿効果のある『カリウム』も含まれているので、余分なナトリウムが排出されて高血圧防止にもなります。低たんぱく、低カロリーなのでダイエットにも適しています。
3.種類
なすは日本では古くから栽培されてきたことから、地域ごとに多種多様な品種が栽培されています。長なす、大長なす、ヒゴムラサキ、京山科なす、加茂なす、千両なす、米なす、丸なすなど紫色のなすだけでも数え切れないほどの種類があります。
緑色の青なすや白なす、薄い紫のグラデーションが特徴のイタリア野菜のなす、一風変わったなすもあります。大きさや形、特徴もさまざまなので料理に合わせて選んでみるのも楽しいですね。
4.食べ頃と見分け方
お店で食べ頃の新鮮なおいしいなすを見分けるには
- 表皮の色が濃くなめらかでつややかな光沢のあるもの
- 全体的に傷や茶色い部分がないもの
- ガクの部分のトゲが痛いくらいしっかりしているもの
- ヘタの切り口がみずみずしいもの
- ずっしり重くて首まで太ったもの
を選ぶのがポイントです。色が薄いものは日照不足が原因。表皮が茶色に変色しているものは皮が固くて果肉に種が多いことがありますのでなるべく避けるのがおすすめ。全体的に張りが良く、重みのあるものを選びましょう。購入後は3~4日以内に食べ切るのがおすすめです。
5.保存方法
なすは低温や乾燥に弱く、水分が蒸発しやすいので1つ1つラップか新聞紙で包んでから冷蔵庫の野菜室か常温で保存しましょう。5℃以下は身が縮むのでNG。煮物や揚げびたしなど調理後の冷凍は可能ですが、調理前の状態での冷凍は出来ません。薄くスライスして天日干しすると保存がききます。水で戻すか汁物に入れると使いやすいです。
6.切り方
なすにはそれぞれ料理に合う切り方があります。
- 輪切り…煮込み料理、炒め物など万能な切り方
- 半月切り…煮物、炒め物など
- 乱切り…「なすと豚肉の味噌炒め」などの、なすがメインになるような料理に向いています
- 薄切り…炒め物、浅漬け、和え物などの副菜向け
- 細切り…和え物など
7.加熱時間
- グリル・・・約10分(以後調節)
- レンジ・・・縦半分に切った場合、600Wで約4分(1本)
乱切りの場合、600Wで約3分 - 茹でる・・・約3~4分
料理によって加熱時間は変わりますが、煮物や炒め物には隠し包丁を入れると中まで火が通りやすくなり、短時間でもムラにならずにまんべんなく加熱出来ます。焼きなすにする時は、時間を掛けてじっくり焼いてしまうと水分や旨みがどんどん逃げてしまうので、なすが焦げないように注意しながら強火で手早く焼くとおいしくなります。
8.レシピ
炒め物に焼きナスにお浸し・・・メインから副菜、サラダや漬物まで幅広い料理に活用できるナスのおすすめレシピを紹介します。
9.なすと相性の良い食材と期待出来る効果
みずみずしくさっぱりと食べられるなすは肉類や味噌、油など旨味の強いものと相性が良いので合わせて食べるのがおすすめです。特に夏の暑い時期は食欲が無くなって、のどごしの良いものを選びがちになりますが、そんな時には、なすの体の熱を下げる働きがとてもぴったり。
しかしそれだけではどうしても不足してくる栄養を肉類(豚肉に特に多いビタミンB1)と油で補うことが出来ます。油には体中の細胞の原料になって新陳代謝を促す働きがあり、ビタミンB1は体を動かすエネルギー源となる欠かせない栄養素です。暑さでなかなか進んで食べられないお肉や油はなすのみずみずしさと合わせることでさっぱりと食べられるので夏バテ対策にもなり、効果的な栄養を美味しく取れるので嬉しいですね。
なすと一緒に食べると良い食材は他にもあります。
- オクラ、えのき茸、ふき…コレステロールの低下
- こんにゃく、きくらげ、ごぼう…高血圧、動脈硬化の予防
- にんじん、ほうれん草、かぼちゃ…がん予防、美肌効果
- あさり、しじみ、トマト…糖尿病の予防
なす自体には含まれる栄養素は他の野菜と比べると少なめですが、合わせて取ることで期待出来る効果は増えます。色々な食材と組み合わせてみて下さい。
10.なすの豆知識
なすを切った時の変色を防ぐには、調理直前にカットして水にさらしアク抜きするのがポイントです。水につけすぎると風味や栄養が落ちるので長くても10分以内にしましょう。切った後に少量の塩を振り、しんなりさせて水分とアクを出す方法もあります。煮物やカレーになすを入れる時には先にサッと油に通しておく一手間を加えると、それだけで色味も、味も良くなるのでおすすめです。
11.知っておくと便利!焼きなすの皮を簡単にむける裏技
焼きなすは熱いうちに皮をむかないといけないのですが、熱くてなかなか持っていられず一苦労した経験はありませんか?驚くほど簡単に焼きなすの皮をむくことが出来る方法があるのでぜひ試してみて下さい。
- 包丁でなすに約1cm間隔で浅く切れ目を入れます。
- なすをコンロのグリルを使って焼きます。両面焼きの場合は強火で9分、片面焼きの場合は強火で5分焼いた後、裏返して5分が目安です。なすの大きさによって変わってきますので焦げないように様子を見ながら焼いて下さい。/li>
- なすが焼けたらまな板に取り出して、キッチンペーパーを使ってヘタを押さえます。切り込みに沿ってヘタの方から爪楊枝を刺し、ヘタから先端に向かって爪楊枝を滑らせるだけ♪簡単にするりと皮が剥けますよ。
なすは使えるレシピも多く、煮ても揚げても焼いても美味しく食べられる万能な野菜です。色々な食材と合わせることで栄養もバッチリ補えて夏バテや病気の予防にもなるので「なすは栄養が無い!」なんて思わずに、積極的に食べてみて下さいね。
最終更新日 2024年8月16日
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